【大昆虫展(上)】外来昆虫が増える原因を考えてみよう

2024年07月23日 05:30

社会

【大昆虫展(上)】外来昆虫が増える原因を考えてみよう
展示物とポーズを決める五箇公一氏(撮影・大城 有生希) Photo By スポニチ
 夏休みはイベント「大昆虫展in東京スカイツリータウン」(開催中)に!貴重な標本が多数展示され、カブトムシを触って観察できる。3回にわたりその見どころを紹介する。第1回は監修を務めた国立環境研究所の生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一先生(59)に話を聞いた。
 国立環境研究所で生物の多様性に関する研究をしている五箇氏。今年の大昆虫展について「生物多様性保全や自然共生といった観点から外来昆虫の展示に力を入れた」とポイントを明らかにした。

 海外から持ち込まれ、在来種の生態を乱す外来昆虫。近年増殖が顕著なのがクビアカツヤカミキリだ。中国南部から東南アジアが原産で、2012年に愛知県で発見されて以降、関東と近畿を中心に急速に分布を広げている。五箇氏は「彼らはバラ科の樹木が大好きで、日本の桜並木が格好の餌場になる。幼虫が樹木の幹の中で木を食べながら成長する。そうなると木が枯れてしまう。このまま放っておくと日本から桜の木がなくなってお花見ができなくなってしまう」と警鐘を鳴らす。

 産卵数も日本のカミキリムシの倍あり、増殖力も強い。「原産地では耐性を持っているけど、日本は環境も違うし食われっぱなし。桜並木という、普通の自然環境とは異なる形で樹木がそろえられていることが外来種にとってはパラダイスになる」と指摘した。

 そんなやっかいな外来昆虫だが、持ち込まれた原因は人間にある。「グローバル経済の中、日中の貿易が活発になり、コンテナにくっついて日本に入ってくる。これからどんどんいろんな生き物が入ってくる」とさらなる被害拡大も懸念される。「昆虫は愛すべき存在だけど時には困った事態が起こって駆除しなくてはならない。そんなジレンマの時代に入ってしまった」と五箇氏。「虫を見てかっこいい、面白いと思うことも大事。だけどその背景にある環境問題と昆虫の未来に思いをはせてほしい」と呼びかけた。

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