池江、女子初の5冠 好物チョコ断ち“甘さ”捨てた
2017年04月17日 05:33
競泳
息継ぎなしで制した50メートル自由形決勝から約40分後。100メートルバタフライ決勝を前に不安がよぎった。「メインの種目で派遣(記録)を切れなかったらどうしよう」。だが、村上コーチに「おまえは大丈夫」と背中を押され、「あと一本で家に帰れる」と集中して腹をくくった。前半は日本記録を0秒09上回りターン。折り返して浮き上がると、もう周りにライバルはいない。あとはタイムとの勝負だ。最後は残るエネルギーを使い切り、2位に1秒30の大差をつけ切符をつかんだ。
勝負の世界は甘くなかった。昨年6月の欧州遠征。レース間の休憩で好物のチョコレートを頬張っていると、自由形の塩浦慎理から「試合中はやめた方がいいよ」と注意された。スポーツ栄養士・こばたてるみ氏によると、一度に過剰な糖分を摂取して運動をすると、急激に血糖値が下がる「インスリンショック」を起こす可能性があり、パフォーマンスに影響を及ぼすこともあるという。
“甘さ”は禁物。9歳年上の先輩の教えを守ると、五輪までに100メートル自由形と50メートルバタフライで日本新記録を樹立。リオでは100メートルバタフライで3度日本記録を更新して5位入賞した。今大会の初日には友人からチョコレートをプレゼントされたが「食べようとした瞬間に思い出して、やめました。血糖値上がっちゃうから」と甘い誘惑にも負けない。高い意識も前人未到の5冠を呼び込んだ。
4日間の大会期間中はレース後のドーピング検査で十分な睡眠を取れなかった日もあり、疲労とも闘った。「こんなにタフなレースをこなすことができて本当にいい経験だった」。年末年始には初めて高地トレーニングを実施。酸素の薄い施設で心肺機能を強化するなど限界に挑戦してきた経験が、今回の過酷な条件下でのレースにも生きた。
新たな勲章とともに挑む世界選手権。「一本一本集中して、100メートルバタフライはメダルを目指したい」。最大の目標である地元開催の東京五輪へ向け、若きエースは確実に力をつけている。
◆池江 璃花子(いけ え・りかこ)2000年(平12)7月4日、東京都生まれの16 歳。淑徳巣鴨 高1年生。3歳から水泳を始める。昨年のリオデジャネイロ五輪では日本史上最多の7種目に出場した。1メートル70。
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