【玉ノ井親方 視点】高安は速球派から技巧派に変身? 今から優勝争いを意識するようでは厳しい

2021年03月21日 20:17

相撲

【玉ノ井親方 視点】高安は速球派から技巧派に変身? 今から優勝争いを意識するようでは厳しい
<大相撲春場所8日目>照ノ富士(左)を攻める高安(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 【大相撲春場所8日目   ○高安(寄り切り)照ノ富士● ( 2021年3月21日    東京・両国国技館 )】 高安がよく考えた相撲を取って、照ノ富士との1敗対決を制した。
 立ち合いの当たりはほぼ互角。ただ、その後の動きが良かった。相手の巨体をがっちり受け止め、すぐにもろ差しになった。ここで効いたのが下手の位置だ。右を深く差して相手の後ろまわしをつかみ、照ノ富士に小手投げを打たれないように防御。そして、すぐには出ていかず、投げを警戒しながらじっくり落ち着いて攻めた。出し投げで揺さぶり、相手の体勢を崩すと、最後は危なげない形で寄り切った。

 大関に上がった頃は弾くような立ち合いから、強引に前に出る力強い取口が目立ったが、その反面、出足を止められると、焦って墓穴を掘ることも少なくなかった。しかし、今はむやみやたらに出て行かず、しっかり四つに組んでから出ていく形をつくれるようになった。もともと馬力があり、突っ張っても組んでもいい力士だった。それがケガで番付を落とし低迷。そこから少しずつ体調を整え三役に戻ってからは、相撲が少し変わった印象だ。野球の投手に例えれば、直球勝負の速球派から技巧派に変身した感じだろうか。

 この白星で1敗は高安ただ一人になった。しかし、まだ中日を折り返したばかり。意外に精神的に弱いところがあるから、今から優勝争いを意識しているようでは、後半戦は厳しくなる。ただ、今場所は赤ちゃんができたことで、本人も子供のために頑張ると言っている。赤ちゃんが、精神面を強くさせているのは確かだろう。このままの勢いで、横綱不在の場所を盛り上げていって欲しい。(元大関・栃東)
 

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