【砂村光信の目】試合中のチームディフェンス修正で流れを変えた日本代表

2021年06月27日 07:15

ラグビー

【砂村光信の目】試合中のチームディフェンス修正で流れを変えた日本代表
<ライオンズ・日本>前半、突進する松島(中央) Photo By 共同
 【ラグビーリポビタンDツアー2021   日本代表10―28全英・アイルランド代表ライオンズ ( 2021年6月26日    英エディンバラ )】 ジャパンがチームディフェンスを修正し、ライオンズが前へ出られなくなって流れが変わった。前半はW杯以来となる強い相手との対戦で体が慣れずに当たり負けし、前へ出させたくない、パスをさせたくないと個々が上がりすぎてバラバラになったディフェンスの穴を突かれた。だが、ディフェンスラインをコネクトさせ、全体で前へ出るように試合中に早くも修正できたのは収穫だ。最初のトライでは我慢できずに飛び出してしまったWTBフィフィタも、むやみに前へ出なくなっていた。
 アタックはラインアウトのロングスローにWTB松島を走り込ませるなど、日本らしいサインプレーが随所に見られた。ライン攻撃ではボールを大きく後ろへ下げ、相手ディフェンスが前に出てきたスペースを突いてWTBまで運ぶ意図も見えたが、止まって受けるようなプレーでスピードがつかなかったため走りきれなかった。ウェールズを率いたガットランド監督のチームらしく、全体で前へ出てくるライオンズのディフェンスは確かに強いが、W杯後は世界中でディフェンスのスピードが上がっている。日本はそのスピードの中でプレーしたことがなく、受けるプレッシャーが従来の感覚と違っていたはずだ。プレーそのものは素晴らしいと思うし、この経験を次戦以降で生かしてアタックにスピードと勢いをつけたい。

 選手では、海外組の松島とNo・8姫野のプレーに本場で戦ってきた自信が感じられた。後半途中から入ったSH斎藤はさばきが抜群に速く、密集では少人数でボールを出せるのでFWの疲労が少なくて済む。途中出場組ではミラーとヴァルの両プロップのプレーも安定しており、先発の稲垣と具、プロップは4人の誰が出ても計算できる。また、本来はFW第3列ながらロックで起用されているコーネルセンはポイントへ行くのが早くて役割をしっかり果たしており、良い選考との印象を受けた。

 気になるのは次のアイルランド戦のメンバー構成だ。今春のテストマッチは2試合しかないだけに、なるべく多くの選手に経験を積ませたい。ライオンズ戦は2人しかいないバックスのリザーブだったにも関わらず出番のなかったSO松田を、今後どのように起用していくのかにも注目している。(元U―23日本代表監督)

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