【元横綱稀勢の里コラム】大関、横綱への願い込め「大の里」のしこ名託す

2023年05月03日 07:00

相撲

【元横綱稀勢の里コラム】大関、横綱への願い込め「大の里」のしこ名託す
<大相撲夏場所新弟子検査>新弟子検査を受検する二所ノ関部屋の中村泰輝(日本相撲協会提供) Photo By 提供写真
 夏場所も2週間後に迫り、二所ノ関部屋の力士も調整のピッチが上がってきました。幕下10枚目格付け出しでデビュー予定の中村泰輝も順調に仕上がっています。悔いのない状態でプロ生活に臨んでほしいと思います。
 しこ名は「大の里」に決めました。私は新入幕(04年九州場所)と同時に本名の萩原から改名しましたが、その際に候補になっていたものです。部屋を持つようになって、横綱や大関になる逸材につけようと温めていました。

 1メートル90以上の長身に体重170キロ台の体格。第一印象からインパクトがあり、その瞬間、しこ名はこれだとひらめきました。昭和初期に活躍した「大ノ里」は小さい力士だったと聞いていますが、中村にはスケールの大きさを感じており「大」がふさわしかった。名前に「だい・き(泰輝)」も入っていたのも何かの縁でしょうか。「大」という字は内側から外へ大きく伸びていくようなイメージがあります。中に集約するのではなく、字のごとく外へ広がっていくような体をつくってほしい願いもあります。

 私は「稀勢の里」をいただきました。入門時の師匠は元横綱・隆の里。「里」を入れたいとは思っていましたが、師匠が現役時代から親しくされていた永平寺の禅師から贈られた「稀なる勢いをなす」という言葉に由来します。最初は「稀勢」を何と読むか迷いましたが(笑い)、番付を上がっていくとともにしこ名はしっくりと来るものですね。しこ名とともに成長して、体も鍛え、横綱にまで駆け上がり自分のものにできました。「稀勢を自分の子供にをつけました」という話を聞くと、うれしいですし、ありがたいことです。「稀」という文字を見ると気が締まる気持ちもありますね。

 しこ名はインスピレーションでつけていますけど、その子に合うような名前を考えていきたいですね。二所ノ関部屋では、大鵬、大麒麟、麒麟児など代々架空も含めた動物から取ることが多かったようです。その伝統に則って「麒麟龍」や「林龍」「林虎」などをつけました。今後は地元・茨城をイメージするような名前をつけたいと考えています。地元密着の部屋経営を目指していますし、プロスポーツは野球でもサッカーでもそれぞれの地名がチーム名に入っています。阿見の里?、うーん、面白いかもしれませんね(笑い)。 (元横綱・稀勢の里)

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