中島 涙のプロ初優勝!金谷と「バチバチ」3週連続最終日最終組対決 29アンダープレーオフ決着
2023年06月12日 04:50
ゴルフ
幸せな時間だった。相手は15歳の頃から背中を追い続けてきた2学年上の金谷。3週連続の最終日最終組対決で、前半で5つ伸ばし一気に並ぶ。だが簡単には勝てない。後半はバーディーとパーセーブの応酬。「金谷さんとバチバチに戦えてうれしかった」。ラウンド中は互いの世界観があり一切の会話はない。最後のパット後、金谷から「いいプレーだったよ」と声をかけられた。
最終18番のバウンスバックが進化の証だった。中島はオフにメンタルトレを導入。頭の中に「つぼ」をつくり試合中のミスはいったん、つぼに入れ、試合後に反省する。ミスを引きずらなくなった。17番のボギーで一歩後退するも土壇場で追いついた。2週前、同じくPOで敗れた後に片山晋呉から声をかけられた。「お金では買えない経験をしたね」。胸に響いた。無駄な敗戦などなかった。
2年前にツアー史上5人目のアマVを達成。その後、蝉川ら同世代の優勝にも「焦る自分はいなかった」。昨年はへんとう炎などで66キロまで落ちた体重は現在76~77キロで安定。今週も5日に福岡入り後はほぼ毎日、先輩の河本力らと焼き肉を食べた。「最近、朝ご飯が食べられないのは焼き肉のせいです…」と笑うも、心技体が充実。しっかり最終日のバックナインに力を蓄えてきた。
オフの練習は6割をショートゲームに充て1Wは苦手コースをイメージしながら集中して振った。成果はプロ転向後の初Vで証明された。今季中は国内に主戦場を置き、来季以降は世界も視野に入れる。金谷という壁を越え、つかんだ頂点。それでも「金谷さんに勝てたから余計うれしい。でも超えたとは思えない」というパラドックス。中島はまだまだ強くなる。
◇中島啓太(なかじま・けいた)2000年(平12)6月24日生まれ、埼玉県加須市出身の22歳。東京・代々木高から日体大へ進学。1メートル77、77キロ。家族は両親と姉2人。
☆神童 6歳のとき、タイガー・ウッズをテレビで見て父の正昭さんにゴルフクラブをねだる。埼玉・大利根中3年(15歳)で日本アマ決勝に進出し、ゴルフ界に衝撃をもたらす。決勝で敗れた相手は当時17歳の金谷拓実だった。
☆アマ戦績 18年アジア大会で団体・個人とも金。21年7月に日本アマを初制覇、9月にはパナソニック・オープンで史上5人目のアマチュア優勝。22年にはアマ世界ランク1位に授与されるマコーマックメダルを2年連続で獲得。
☆G党 巨人の菅野智之投手を尊敬する。「常に70%の集中力で投げてギアを上げるときは120%まで上げる。いい意味で手を抜く」という考えに共感。「今日(11日)が復帰登板ですよね!」と興奮。
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