中島 涙のプロ初優勝!金谷と「バチバチ」3週連続最終日最終組対決 29アンダープレーオフ決着

2023年06月12日 04:50

ゴルフ

中島 涙のプロ初優勝!金谷と「バチバチ」3週連続最終日最終組対決 29アンダープレーオフ決着
プロ転向後初優勝を飾った中島は島中キャディと抱き合う(撮影・上田章博) Photo By スポニチ
 【男子ゴルフツアーASO飯塚チャレンジド最終日 ( 2023年6月11日    福岡県 麻生飯塚GC=6809ヤード、パー72 )】 2週連続2位が続いていた中島啓太(22=フリー)が涙のプロ転向後初優勝を決めた。正規の18ホールで1イーグル、6バーディー、1ボギーの65と猛チャージ。通算29アンダーで並んだ金谷拓実(25=Yogibo)とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制した。21年9月にパナソニック・オープンでツアー史上5人目のアマVを飾っており、通算2勝目。アマ時代から宿敵の金谷は史上2人目の2週連続完全Vを逃した。
 打つ前から感情があふれ出た。30センチのウイニングパットを前に中島の目元が赤く染まっていく。「もう気を使わなくてもいいパットだったので打つ前から泣きそうになって…言葉では表せない感情でした」。通算29アンダーでのPO突入はツアー記録。その2ホール目、右ラフから164ヤードの2打目は勝利を確信する30センチにつけた。パターを振る。決まった。泣きながら金谷の胸に飛び込んだ。

 幸せな時間だった。相手は15歳の頃から背中を追い続けてきた2学年上の金谷。3週連続の最終日最終組対決で、前半で5つ伸ばし一気に並ぶ。だが簡単には勝てない。後半はバーディーとパーセーブの応酬。「金谷さんとバチバチに戦えてうれしかった」。ラウンド中は互いの世界観があり一切の会話はない。最後のパット後、金谷から「いいプレーだったよ」と声をかけられた。

 最終18番のバウンスバックが進化の証だった。中島はオフにメンタルトレを導入。頭の中に「つぼ」をつくり試合中のミスはいったん、つぼに入れ、試合後に反省する。ミスを引きずらなくなった。17番のボギーで一歩後退するも土壇場で追いついた。2週前、同じくPOで敗れた後に片山晋呉から声をかけられた。「お金では買えない経験をしたね」。胸に響いた。無駄な敗戦などなかった。

 2年前にツアー史上5人目のアマVを達成。その後、蝉川ら同世代の優勝にも「焦る自分はいなかった」。昨年はへんとう炎などで66キロまで落ちた体重は現在76~77キロで安定。今週も5日に福岡入り後はほぼ毎日、先輩の河本力らと焼き肉を食べた。「最近、朝ご飯が食べられないのは焼き肉のせいです…」と笑うも、心技体が充実。しっかり最終日のバックナインに力を蓄えてきた。

 オフの練習は6割をショートゲームに充て1Wは苦手コースをイメージしながら集中して振った。成果はプロ転向後の初Vで証明された。今季中は国内に主戦場を置き、来季以降は世界も視野に入れる。金谷という壁を越え、つかんだ頂点。それでも「金谷さんに勝てたから余計うれしい。でも超えたとは思えない」というパラドックス。中島はまだまだ強くなる。

 ◇中島啓太(なかじま・けいた)2000年(平12)6月24日生まれ、埼玉県加須市出身の22歳。東京・代々木高から日体大へ進学。1メートル77、77キロ。家族は両親と姉2人。

 ☆神童 6歳のとき、タイガー・ウッズをテレビで見て父の正昭さんにゴルフクラブをねだる。埼玉・大利根中3年(15歳)で日本アマ決勝に進出し、ゴルフ界に衝撃をもたらす。決勝で敗れた相手は当時17歳の金谷拓実だった。

 ☆アマ戦績 18年アジア大会で団体・個人とも金。21年7月に日本アマを初制覇、9月にはパナソニック・オープンで史上5人目のアマチュア優勝。22年にはアマ世界ランク1位に授与されるマコーマックメダルを2年連続で獲得。

 ☆G党 巨人の菅野智之投手を尊敬する。「常に70%の集中力で投げてギアを上げるときは120%まで上げる。いい意味で手を抜く」という考えに共感。「今日(11日)が復帰登板ですよね!」と興奮。  

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