日大アメフト部の暫定出場資格停止処分 連盟理事長「連帯責任ではない」
2023年08月11日 02:19
アメフト
臨時理事会と加盟校への説明を終えた11日未明、東京都内でスポニチの単独取材に応じた広田慶理事長は、「今までの事実確認において、現段階ではこういう判断をせざるを得なかった。(処分に)特段の反対意見はなかった」と説明。たった1人の愚行により、残る120人超の部員に影響が出てしまうことに関しては、「結局、連帯責任ではないかと思われてしまうのは本意ではない」と語った。
広田理事長との主な質疑は以下の通り。
――「当面の間の出場資格の停止」処分が出るまでの議論の中身は。
「理事会の議論の中身は(規定上)お伝えすることができない。本日までに、日大から文書および(中村)監督からの直接の報告を受け、まず事実の共有をして、意見を交わした。なぜ当面の停止処分になったかというと、今までの事実確認において、現段階でこういう判断をせざるを得なかった。タイムスケジュールがある。われわれとしては連帯責任を問う方針ではない。その前提の上で、現段階の報告では、試合を実施するに至らないという判断をせざるを得なかった。まだ十分な事実解明がない状態。警察の捜査があるので、致し方ないところはある。責任の所在が明確ではない。では誰の何がいけなかったのか。学生なのか、管理者なのかが不明確。(メディアは)無実の学生、みたいな表現をされると思うが、その特定が、日大からの報告の事実からはできかねる。日大アメフト部の全ての方が悪いとは当然思っていないが、9月2日の開幕は他のチームが待っている状態で行われるわけで、この時点で判断せざるを得なかった」
――臨時理事会では今回の処分決定に賛意が多かったのか。
「そうだ。審議をして、決議をした。具体的には言えないが、特段の反対意見はなかった」
――今回の決議について、各加盟校の反応は。
「今回の連盟決定を支持していただいた。特に対戦チームとなる関係者からは、今日に至るまで、保護者の不安が上がってきていたという話があった」
――処分決定を受け、日大の中村監督の反応は。
「リアクションというものはなかった。私の解釈だが、厳粛に受け止めていた」
――一方で日大本部は逮捕された部員を除き、無期限の活動停止処分を解除した。真逆の判断になったとも言えるが。
「中村監督の話の中で、本日(10日)中に解除される旨は報告をしてもらっていた。なので議論の中でその要素を含めて判断した。今後、日大の独自の練習、アメフト活動に、今の段階で制限することは考えていない」
――処分解除された場合も、今季は参考試合となり、成績に反映されない。そのような決定に至った理由は。
「事前に今回、9月2日の開幕に出られないかもしれない大学があり、初戦に出られなかった場合、2戦目からの参戦になる場合を、想定として監督会と協議をしていた。その流れを踏襲して、今回も決めた」
――18年の悪質タックル問題に続き、再び同じチームで問題が発生したことの受け止めは。
「フットボール界に多大なる悪影響を及ぼすような事案が発生したことは大変遺憾。5年前の事案とはケースが異なるが、われわれは運営団体ではあるが、指導する立場でもあると認識しているので、結果的に至らなかったことは反省している。今後、日大からの再発防止策に加え、連盟としても二度と起きないための再発防止策を、当然講じていく必要があるし、一大学の問題として受け取るべきではないと感じている」
――今回は1人の部員による、いわばプライベートでの事案。連盟として指導をするには限界がありそうだが。
「連帯責任を問うカルチャーだから、隠蔽をするのではないかという意見もあると思うし、隠蔽をするから、連帯責任を問うべきという意見もあると思う。ただ、私たち自身は連帯責任を問う方針ではないし、それは今に始まったことではない。ここ数年でもトラブル事案があった時には、当該チームを含めて伝えてきた。各チームと連係しながら、啓蒙だけではなく、仕組み作りをしないといけない。なので今回のわれわれの下した判断が結局、連帯責任ではないかと思われてしまうのは、本意ではない。この処分にせざるを得ない状況だったということ」
――今後、処分解除に向けての日大とのやり取りは。
「規律委員会も立ち上げた。今回の事案が本当に重大であると思っているからこそ、委員会を立ち上げた。引き続き日大と連係させていただき、報告を待ちつつ、われわれとしても動いていく」
――場合によっては、追加の処分を下す可能性もある。
「当面の間というのは現時点の話。クリアになれば、速やかに試合ができる状態になるし、個人の責任が明確になれば、処分をするかどうか、しっかり決めていく。われわれは罰を与えるために存在している組織ではない。アメフトを通じて、学生の成長の場を提供するのが目的であるので、ミッションを押さえた上で、何事も判断していくということになる。警察の判断を無視するわけにはいかないが、われわれの判断の軸は、また違ったところにあるということ」
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