【ラグビーW杯】キックの差=得点差 “再獲得数”日本3/37 イングランド戦の敗因

2023年09月20日 04:55

ラグビー

【ラグビーW杯】キックの差=得点差 “再獲得数”日本3/37 イングランド戦の敗因
イングランド戦でパントをノックオンする下川 Photo By スポニチ
 【ラグビーW杯1次リーグ 】 【ジョセフHC“参謀”堀川隆延 深掘り】日本代表は19日、滞在中のモナコで、大会期間中初となる連休を取って休息に努めた。激戦となった17日のイングランド戦を、静岡ブルーレヴズの堀川隆延アシスタントコーチ(50)が改めて深掘り。勝敗を分けたのはアンラッキーな失点ではなく、キックゲームの質の差だったと分析した。負けられない次戦のサモア戦(28日、トゥールーズ)への明るい材料や改善点も指摘した。
 ともにキックを多用した日本とイングランドだがトライ数は0と4。明暗を分けた理由は、キックとキックチェースの質の違いだ。

 日本のキック数は37本で、キック1本に対してラックの数(割合)は1・5回。総距離は925メートルだった。チリ戦は25本、割合は2・6回だから、いかに多く蹴ったかが分かる。イングランドはキックが42本で割合は2・4回、総距離1175メートル。戦前の予想通り、互いに主導権を握るためにキックを使って地域を獲得していくプランを持っており、数字にもしっかり表れた。

 日本は相手の防御ラインの背後を突き、再獲得するための工夫を凝らしたキックを準備していた。ハイボールだけではなく、キックパスやショートキックなど種類もさまざま。何度かはチャンスをつくったが、スコアにつながるまでの効果的なものはなかった。またキックオフレシーブから背後を狙ったショートキックが、大型選手がそろう相手バックスリーにダイレクトキャッチされる場面もあった。準備してきたプレーが結果的に自分たちの首を絞めており、次戦に向けて改善したい。

 キックの再獲得数も大きな差が出た。イングランドは42本中、11本を再獲得してチャンスにつなげた。一方の日本は37本中3本。相手はバックスリーの背後へのキックで、日本を自陣にくぎ付けにした。キックチェースでもスピードと落下点の人数や密度に差があり、この点でもイングランドが一枚上。大きくて速い相手両ウイングが80分間通じて激しくプレッシャーをかけており、日本は体力を削られる結果になった。

 サモア戦、アルゼンチン戦に向けて、特に自陣脱出のためのキックプランは修正が必要だ。イングランド戦のボール保持率は34%、地域支配率も39%と大きく劣った。敵陣でプレーするため、コンテストキックだけではなく、ロングキックを使うなど、バリエーションも必要になる。チェーススピードも意識一つで変えられる。すぐに改善してほしい。

 明るい材料は、昨年11月の対戦から大きく改善できたスクラムだ。長谷川コーチが綿密に分析し、鍛錬したことが結果に表れた。選手も自信を持てたはずだ。守備でも相手のゲインライン突破率は46%、日本のタックル成功率は88%で、タックルはイングランドの86%を上回った。特にFW陣の防御への貢献度は高く、次戦以降も継続したい。

(敵陣22メートル以内の/集中力と遂行力/) 攻撃ではボール保持率は大きく劣ったが、クイックボールリサイクル(ラックから3秒以内の球出し)は63%と、相手の速い防御を攻略できた。あとはテンポが上がった時に、ミスせずスコアまでつなげる必要がある。特に敵陣22メートルに入った場面の集中力と遂行力を高めないと、トライにつながらない。

 サモアは1対1のフィジカルは強いが、タックルミスは多い。スキルを使ってゲインラインを切れば、必ずスコアできる。セットプレーからできるだけ少ない攻撃回数で取り切ってほしい。逆にそれが遂行できないと、次も苦戦することになる。

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