【二所ノ関親方 春場所総括】上位にも脅威 尊富士の力と技術の融合

2024年03月26日 04:55

相撲

【二所ノ関親方 春場所総括】上位にも脅威 尊富士の力と技術の融合
千秋楽で尊富士(右)は押し倒しで豪ノ山を破り優勝を決めた(撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 歴史的な瞬間を見させていただきました。尊富士の快挙。私は出ないと思っていたので、弟子の大の里の優勝準備でバタバタでしたが(笑い)、立派としか言いようがありません。文句なしの三賞総なめ。「感動賞」を贈りたい気分です。
 彼の良さはパワーに加え、相手の力を利用できる技術力にたけていること。優勝を決めた豪ノ山戦でそれを実証しました。右で張って動きを止めて左差し。相手の力を利用しながら中に入っていく得意戦術で、相手が出足のいい力士だったからこそ良さを発揮できたとみています。

 もう7年も前になりますか。私も大阪の新横綱場所で、終盤ケガをしながらも土俵に上がり、照ノ富士に本割、優勝決定戦と連勝して逆転優勝しました。当時は周囲は「大丈夫か?」と焦っていましたが、意外と私自身は冷静でした。左が使えないから、こういうことしかできないと決め打ちすることができた。

 尊富士の心境を察すると、相手の力を利用しながら中に入っていく。それしかないと割り切れたのは、自分を見直すことができたのが勝因でしょう。ケガを治して今場所のような相撲が取れれば、上位には嫌な相手となるでしょう。

 大の里は2場所連続で11勝。相手も強くなる中で、課題としている立ち合いと圧力をかけ続ける攻めには成長の跡も感じられました。3敗になった時点で優勝はないと思っていましたし、「次は13勝して優勝しようぜ」と本人に言いました。豊昇龍、琴ノ若には先場所に続いて敗れましたが、2番ともいい負け方と思っています。負けて覚えることはたくさんあります。夏場所に向けしっかり指導していきたいと思っています。

 2人の活躍とは対照的に、4大関は影が薄いものでした。4人そろって勝った日は最後までなし。優勝争いに絡めず、割を崩されてしまいました。もう一度立て直して引っ張っていく姿勢を示さないと、世代交代が一気に加速しそうです。(元横綱・稀勢の里)

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