“モデルハードラー”田中佑美 宝塚歌劇団あきらめ夢のパリに弾み 勝負の日本選手権へ「気を引き締めて」

2024年04月30日 05:30

陸上

“モデルハードラー”田中佑美 宝塚歌劇団あきらめ夢のパリに弾み 勝負の日本選手権へ「気を引き締めて」
 女子100メートル障害決勝 13秒00で優勝した田中佑美=ホットスタッフフィールド広島 Photo By 共同
 【陸上 織田記念国際 ( 2024年4月29日    広島・ホットスタッフフィールド広島 )】 女子100メートル障害決勝は、昨年の世界選手権代表の田中佑美(25=富士通)が13秒00で2連覇を果たした。今オフにはファッション雑誌とのコラボレーションでモデルに挑戦するなど異色の経歴を持つハードラーが、女子最激戦区とされる同種目のパリ五輪切符へ弾みをつけた。男子3000メートル障害は、東京五輪7位入賞の三浦龍司(22=SUBARU)が大会新記録の8分22秒07で制した。
 1メートル72の長身を誇る“モデルハードラー”が、花の都へ急接近中だ。田中は号砲と同時に勢いよく飛び出し、終盤に新旧日本記録保持者の福部、青木らを引き離してフィニッシュ。雨中の向かい風でも13秒00と好タイムをマークし「12秒台が出ず、数字としては満足いかないけど、目標が落ち着いてレースすることだった」と振り返った。

 激戦区の種目で存在感を増している。昨季は自己ベストを13秒12から0秒23更新し、一流選手の証でもある12秒台(12秒89)に突入した。初めて世界選手権を経験し、ひと冬越えて強さを増した。今月には日本の陸上女子では田中希実に続いてニューバランスと契約。さらにファッション誌「BAILA」とのコラボでモデル撮影にも挑戦。周囲からの反響も良く「注目してもらうことは向いてる」とうなずく。内なる自信は、写真にもあふれ出た。

 長身を生かした、しなやかなハードリングは、異色の経歴がもたらした。「人前に立って踊ったり、舞台に立つのは好き」と言うように幼少期からクラシックバレエをたしなみ、夢は宝塚歌劇団のスターだった。高校で陸上をやめる予定だったが、全国総体2連覇を達成するなど躍進。宝塚音楽学校に入学するための願書まで用意したが、別の夢舞台を目指すために陸上に専念した覚悟がある。

 昨年の日本選手権では寺田、青木、田中、福部の順に0・04秒の中に4人がなだれ込む大混戦だった。パリ五輪の出場枠は最大3。参加標準記録は12秒77で、6月の日本選手権で3位以上が最低条件となる。「そこでしっかり順位を取るのが大切。気を引き締めて今後やりたい」。凜(りん)とした表情に、確かな自信がにじんだ。 (大和 弘明)

 ◇田中 佑美(たなか・ゆみ)1998年(平10)12月15日生まれ、大阪府出身の25歳。関大第一中から陸上を始め、関大第一高では全国総体2連覇。立命大時代の19年に日本学生対校選手権を制した。21年富士通入社。昨年4月の織田記念で日本人4人目の12秒台に突入。同5月のセイコーゴールデングランプリで日本歴代4位の自己ベスト12秒89をマーク。杭州アジア大会では銅メダル。1メートル72。

この記事のフォト

おすすめテーマ

2024年04月30日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム