創立から5年目迎えた「BorderLeSS」 アスリートらのキャリア&メンタルを支えて広がる世界

2024年04月30日 10:00

スポーツ

創立から5年目迎えた「BorderLeSS」 アスリートらのキャリア&メンタルを支えて広がる世界
「BorderLeSS」の筒井香さん(左)と古結誠さん Photo By スポニチ
 アスリートのキャリア支援やメンタルトレーニングを行う「BorderLeSS」が、今年4月6日で創立から丸4年を迎えた。スポーツ心理学研究で博士号を持つ筒井香さんが代表取締役兼CEO、弁護士の古結誠さんが代表取締役兼COO、そして元サッカー日本代表の橋本英郎さんが取締役兼CCOを務める。
 近代五輪の第1回アテネ大会の開幕日にちなみ、20年4月6日から会社はスタート。創立のタイミングでコロナ禍となったが、同年5月にメンタルトレーニングなどの講座をオンラインで開くと、約100人が集まった。筒井さんは「興味を持っていただいているチームや選手の方々はこの4年間で増えたし、問い合わせも増えました」と語る。

 「BorderLeSS」が提供するのは、主に「アスリートキャリア教育」と「メンタルトレーニング」の2つ。前者の「キャリア教育」については、引退後も含めた人生に対するものだ。「自分がスポーツでやってきたことは何で、それをどう社会に生かしていけるのか。そういう風に転換できるアスリートの人材を育てたい」と筒井さんは言う。

 引退後を「セカンドキャリア」として捉えるのではなく、人の生涯を一本として捉える「デュアルキャリア」という考え方を用い、現役時からアスリートならびに人としてのキャリア形成に取り組む。引退後の準備をすることで「終わりがあることを認識することで、現在の競技力を向上させることにもつながる」(筒井さん)という。

 もう一方の「メンタルトレーニング講座」では、パフォーマンス向上などを求めるアスリートらを支えている。

 「一番は、自分を知ることを大事にしています。たとえば“緊張するのをどうしましょうか?”と対処法を問われる中で、その前に“なぜ、あなたは緊張するのか?”“それだけ緊張できるのは、どういうことを考えているのか?”と。自分を肯定して、ありのままの自分を理解して、最適な対処を自分でつくる。自分のメンタル、思考、感情のトリセツをつくろうというのを大切にしています」

 実際に筒井さんは五輪に臨む選手らをサポート。より深く自分を知っていくことで「日々のトレーニングに対する向き合い方など“準備のところに影響しているな”と選手の変化を見ていて感じます」と語る。現在では「自分の人生の納得感を高めていく。今はここに尽きるかな」と筒井さんは言う。

 「毎日を振り返ることで自分を整えて、次の日につなげる。そのサイクルを大事にすることで、1日1日に納得感が生まれる。スポーツの世界の勝敗は分からないし、五輪にどれだけ行きたくても、行けない場合もある。でも、どんな結末が待っていても、自分の人生に納得できるかどうか。引退していく選手たちの声を聞いていると、そこが自分のやってきたことなのかなと感じるところがあります」

 キャリアに関する講座などでは、競技の垣根を越えたレッスンを実施。海外でプレーする選手、パラリンピックを目指したい選手、そして学生などがオンラインで触れ合ったことから大きな成果があった。

 「競技に集中することで、競技力を上げることも我々は大事にしているけど、視野を広げることもまた重要です。違う考え方、違う視点を知る機会を与えられたのは良かった点で、とても好評でした」(古結さん)

 今後はオンライン、そして対面の講座も充実させることで「キャリアの講座などを通してアスリートの輪を広げたい。それがアスリートの資産にもなる」と語る古結さん。筒井さんは「キャリアとは何か、メンタルとは何かを正しく知ってほしい」と思いを口にする。

 メンタルの講座では教員や医師の受講者もいるように、スポーツの枠を超えてサポートしている。「メンタルトレーニングをラジオ体操のように!」という夢の実現に向けて、筒井さんは日頃アスリートビジネスパーソンに対して提供されている内容を凝縮した「シン・ポジティブ思考」を出版した。

 5年目を迎えた「BorderLeSS」。これからも真摯に「キャリア」と「メンタル」に向き合っていく。

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