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体内時計とは?体内時計が狂う原因と、整える方法「カギは朝食にアリ!」

2024年09月30日 09:00

体内時計とは?体内時計が狂う原因と、整える方法「カギは朝食にアリ!」
現代社会では、忙しい生活や不規則なスケジュールにより、私たちの「体内時計」が乱れることが増えています。 体内時計とは、私…

現代社会では、忙しい生活や不規則なスケジュールにより、私たちの「体内時計」が乱れることが増えています。

体内時計とは、私たちの体が自然に持っている時間管理システムであり、健康や日常生活に深い影響を及ぼします。しかし、乱れた体内時計を整えるにはどうすればよいのでしょうか? そのカギのひとつが「朝食」にあります。

体内時計のメカニズムや、その調整方法について、愛国学園短期大学准教授、博士(理学)で管理栄養士の古谷彰子先生にお話を伺いました。

──体内時計とはなんでしょうか?その役割や仕組みについて教えてください。

体内時計は、生物の体内にある時間を司る仕組みで、睡眠、食事、ホルモンの分泌など、さまざまな生理的なリズムを調整しています。

体内時計の「中枢(親時計)」は、脳の“視交叉上核(しこうさじょうかく)”という部分にあり、24時間周期で機能しています。また、その他の脳の細胞や、末梢の細胞にある体内時計を「末梢時計(子時計)」と言います。

親時計は、朝日など光の刺激によって調整され、子時計に働きかけて活動的な身体を作ってくれます。もちろん光の刺激でもよいのですが、食事や運動の刺激のほうが、子時計たちにダイレクトに伝わります。

朝から活動できるように体を整えていくことを「体内時計のリセット」といいますが、リセット後、約12~14時間あたりで眠くなるホルモンである“メラトニン”が出てきます。

起きる・寝るのサイクルが構築することも、私たちの体のリズムを日々の生活に適応させるために大切なことですね。

次:体内時計が乱れると、どんなデメリットがある?

──体内時計が乱れると、健康やメンタルにどのような悪影響があるのでしょうか?

体内時計が乱れると、睡眠障害、肥満、糖尿病、心臓病、精神的な不調(例:うつ病や不安)など、さまざまな健康問題が引き起こされる可能性があります。

また、体内時計の乱れは免疫機能の低下やホルモンバランスの崩れも引き起こすため、全身の健康に影響を及ぼします。

──体内時計が乱れるおもな原因は何ですか?

体内時計の乱れのおもな原因には、不規則な睡眠習慣(平日と休日の起床・睡眠時間がずれる“社会的時差ボケ”もそのひとつ)、食習慣、運動習慣、夜更かしや夜勤、長時間のスマートフォンやパソコンの使用によるブルーライトの影響、時差ぼけなどがあります。

これらの要因が体内時計のリズムを狂わせ、体調に影響を与えることがわかっています。

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──朝食が体内時計に影響を与えるというのは本当でしょうか? その理由を教えてください。

はい、朝食は体内時計に影響を与えます。朝食を摂ることで、体内時計のリセットが起こり、消化器系のリズムが整います。

食事は体内時計の一部である末梢の子時計(肝臓や腸などの組織にある時計)に働きかけ、全体のリズムを調整するため、朝食は重要な役割を果たします。

朝食をしっかりとると、夜しっかり眠れる体をつくることができるのです。

──体内時計を整える方法には「朝日を浴びる」「運動」などもありますが、朝食を食べることがもっとも効果的というのは本当でしょうか?

朝食以外にも、「朝日を浴びる」「運動」などの方法も、体内時計のリセットに効果的です。

ただし、前述したように経路が違うので、おもに親時計に働きかける“光”と、子時計に働きかける“食事・運動”に分けることができるということです。

夜に光を浴びすぎないよう、ブルーライトカット眼鏡をかけることも効果的です。また運動も体内時計のリセットに役立ちます。たとえば夜遅くにジム通いをする人は夜型になりやすいことわかっています。

光・食事・運動。すべて体内時計のリセットに有効ですが、どれがもっとも効果的かは、個人差やライフスタイルの関係上、できることが限られていると思います。

そのため、複数の方法を組み合わせることが理想的ですが、まずはやりやすいものからトライしてみてはいかがでしょうか。

──理想的な朝食の内容について教えてください。どのような食材や栄養素が体内時計を整えるのに効果的ですか?

理想的な朝食は、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれたものです。食材の組み合わせが体内時計のリセットに関わることがわかっています。

中でも卵やチーズなどの“タンパク質”と、ご飯やパンなどの糖質を含む“炭水化物”の組み合わせ、DHA・EPAのような“魚油”も、体内時計のリセットに効果的です。

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また、和食のように品数が多い食事を摂ることが、早寝早起きになることがわかっています。

朝昼夜の食事のバランスを1:1:1にできるようにすることも、朝リセット機構を働かせるために大切です。

朝ごはんをたくさん食べられる工夫をしていくといいのですが、支度するのが大変な場合は、夕飯の一皿を朝ごはんに回す、チーズや魚の缶詰など調理せずに手軽にタンパク質を摂取できるものもおすすめですよ!

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次:夜勤などで夜型の生活習慣が続く場合、体内時計はどうなる?

──夜勤などでどうしても夜型の生活習慣が続く場合、体内時計はどのように変化するのでしょうか。また、それを改善するための具体的な対策はありますか?

夜勤などで夜型の生活が続くと、体内時計が昼夜逆転し、通常の昼間活動型のリズムとずれてしまいます。ずっと夜勤なのであれば、自分が活動する時間帯に合わせて毎日規則正しく生活すれば、何も問題ないです。

以前ご相談に乗った夜勤の方も、19:00~05:00勤務と伺っていたので、17:00は夕食ではなく朝食、休憩中の食事が昼食、退勤後の7:00に夕食だという認識へ改めた後、食事の内容をそれぞれの時間帯に合わせて指導しました。その結果、非常に睡眠の質が良くなり体調が回復されたことがあります。

目の前の時計ではなく、ご自身の体内時計に忠実になることが大切です。

まずいのが「今日は朝に起きて、明日は夕方に起きて」など、生活のリズムがバラバラの場合。睡眠の質が低下し、健康への影響も大きくなります。

夜勤者の夕食の社食では脂質過多の食事が好まれていたという報告があります。そのため、夜勤中はなるべく重い食事を摂らないというのも解決策の一つかもしれません。

いま、その部分に関しては研究が進んでいるところです。

──体内時計を整えるために、日常生活で気をつけるべきポイントや生活習慣はありますか?

体内時計を整えるためには、毎日同じ時間に起きる、朝日を浴びる、バランスの取れた朝食を摂る、適度な運動を行う、寝る1時間前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、夜遅い食事を避けるなどの生活習慣が大切です。

規則正しい生活を心がけることで、体内時計を整え、健康を維持することができます。

──朝食以外に、体内時計を調整するためのアドバイスがあれば教えてください。

朝食以外にも、光を活用することが有効です。朝起きたらすぐに自然光を浴びることで、体内時計がリセットされます。

また、就寝前には光を雰囲気の良いレストランのような間接照明にすることで、自然な眠りを促すこともできます。

朝の適度な運動やストレッチも体内時計を整える助けになります。

──乱れた体内時計は、上記対策をどのくらい続ければリセットできますか?

個人差はありますが、規則正しい生活を続けることで、通常1~2週間ほどで体内時計はリセットされるとされています。

とくに朝の光を浴びることや、決まった時間に食事を摂ることがリセットには重要です。長期的に乱れた生活習慣を送っていた場合は、リセットにもう少し時間がかかることもあります。

著者プロフィール

古谷彰子

愛国学園短期大学 准教授、博士(理学)、管理栄養士、フードスペシャリスト等の資格を生かし、2018年に個人事業主ChronoManageを開業。2023年より現職。早稲田大学 創新研究機構 招聘研究員、 (株)アスリートフードマイスター 認定講師、発酵料理士協会特別講師としても勤務する。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とし、科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、時間栄養学的栄養指導、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催中。現場を通じて得た問題点をもとに、ヒトを用いた臨床試験、官能評価、アンケート調査を行うことを得意とする。企業の商品開発や、マーケティングに役立たせることが出来ると好評を博している。メディア出演、連載、著書多数。

・公式サイト 
https://chronomanage.com/

https://www.aikoku-jc.ac.jp/course/subject/

<Edit:編集部>

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