勝手に注目し続けた青学大・中島大輔という男の魅力とは プロでは主役になれ

2023年11月22日 08:00

野球

勝手に注目し続けた青学大・中島大輔という男の魅力とは プロでは主役になれ
18日の日本文理大戦の4回、この日3安打目を放ち、一塁へ向かう青学大・中島(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 明治神宮大会が終了し、今年の高校、大学の公式戦は全てが終了した。数え切れないほどの選手を取材したが、「絶対に追い続けたい」と強く心を動かされ、一方的にほれ込んでいたのが青学大の主将で楽天からドラフト6位指名を受けた中島大輔外野手(4年)だった。
 青学大が所属する今年の東都リーグは異常だった。結果的に7人もの投手がドラフト1位指名を受けるなど、各チームのエースの存在が際立っていた。試合後の取材に呼ばれる選手も常広羽也斗投手(4年)、下村海翔投手(4年)の青学大のドラフト1位コンビら投手ばかり。中島が取材に呼ばれたことは今秋は数回だったが、プロへの思いは誰よりも強かったに違いない。リーグ開幕戦後に社会人野球の選択は捨てて「プロ一本に絞りました」と聞いた時は覚悟の強さに驚かされたと同時に「彼なら大丈夫」という根拠のない自信があった。

 忘れられないやりとりがある。無事にドラフトで楽天の指名を受けて迎えた、学生野球最後の舞台となる明治神宮大会。日本文理大との初戦で3安打するなど中島も好調な滑り出しを切ったかと思われたが、試合後の取材で「実は右足をねんざしてやばいです。痛くて本当は立っているのも辛いです」。どんな時も弱みを見せない主将が言った「痛い」という一言は想像以上で準決勝のスタメンは外れた。決勝では「1番・中堅」に復帰したが全力疾走ができる状態ではなかった。痛めた右足をかばいながらのプレーとなり「実は思い切りバットを振ることもできませんでした」と明かした中島。打撃で右足をステップした際はつま先は地面に付けずかかとだけを付けて振っていたといい、「それで1安打できたのは奇跡です」と笑顔で語った姿には心から拍手を送った。

 チーム内では主将という立場ながら、常に注目されてきたのは常広と下村だったこの1年。取材中も2人には多くの報道陣が集まるが中島の元にいるのは5人ほど。うらやましそうに2人の姿を見ながら「あれだけ多くの記者に囲まれているのを見ると“僕は本当にプロになったのかな”って思いますよね」と語るが、最後はいつもこう締めくくった。「いつかは見返してやりたいというか自分も同じように注目される選手になります」。誰にも負けたくないという強い気持ちと最後に示した不屈の闘志があれば、必ずプロでも成功するに違いない。次のステージで主役に躍り出る日はそう遠くないはずだ。(記者コラム・村井 樹)

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