青森山田 2戦連続サヨナラで初の8強 折られても心は折れない“木製バット打線”8回に初安打から奮起

2024年03月28日 05:00

野球

青森山田 2戦連続サヨナラで初の8強 折られても心は折れない“木製バット打線”8回に初安打から奮起
<青森山田・広陵>サヨナラ勝利を喜ぶ青森山田ナイン(撮影・岸 良祐)  Photo By スポニチ
 【第96回選抜高校野球大会第8日・2回戦   青森山田6―5広陵 ( 2024年3月27日    甲子園 )】 2回戦4試合が行われ、青森山田は延長10回タイブレークの末、6―5で広陵(広島)にサヨナラ勝ちした。7回まで無安打も、8回に対馬陸翔外野手(3年)が同点打を放つなど、終盤に打線が逆転に成功。選抜では東北勢初の2戦連続サヨナラ勝利で、初の8強入りとなった。大阪桐蔭は神村学園(鹿児島)を4―2で下し、西谷浩一監督(54)が歴代単独最多の甲子園通算69勝目。昨年準優勝の報徳学園(兵庫)、中央学院(千葉)が勝ち8強が出そろった。
 心は折れていなかった。木製バットの乾いた音は、すぐに大歓声でかき消された。2点を先制された直後の8回1死満塁。対馬が、ボール球の外角スライダーに目いっぱい腕を伸ばした。逆方向の右前へ同点2点打。何度も両手を突き上げて鼓舞したチームの、延長10回サヨナラ勝利につながった。

 「チームがピンチの時にこそ打ってやると。自分が打たないと。今日はチームのために打てました。最高にうれしかった」

 バットは折れた。7回まで、広陵の右腕・高尾響(3年)の前に打線は無安打に抑えられた。今大会から新基準の飛ばない低反発金属バットに完全移行。「使ってみて打感が合わないなと感じたので」と木製バットを使用する対馬は、4回の第2打席でバットを折られてボテボテの遊失だった。ともに木製を使う吉川勇大(3年)も7、8回と2度、バットを折られ内野ゴロ。ねじ伏せられそうな瀬戸際で、好投の相手エースを捉えた。

 9回サヨナラ勝ちした21日の京都国際との初戦。吉川が2安打も、対馬は4打数無安打に終わった。操作性を優先し、この日は初戦より20グラム軽い870グラムの白木のバットを使用。8回の同点打の後は、大事な打席で仕事を果たした。無死一、二塁で始まる延長10回タイブレークは、先頭で三塁線への絶妙なバントを転がし内野安打。4番・原田純希(3年)のサヨナラ犠飛をお膳立てした。「木で打球も死んでくれたので良かったですね」。打球の勢いを殺しやすい木製バットの利点が、東北勢選抜初の2試合連続サヨナラ勝ちにつながった。

 兜森祟朗監督は「最後まで諦めない試合はチームにとっての一番の財産。よくものにできた。選手の頑張りに感謝したい」と称えた。20人中10人が中3時に日本一になった青森山田中の出身。その一人の対馬は「またこのメンバーで優勝してみせます」と宣言した。(村井 樹)

 ◇対馬 陸翔(つしま・りくと)2006年(平18)12月22日生まれ、青森県出身の17歳。横内小3年から野球を始める。青森山田中では青森山田リトルシニアとして3年夏に日本一を経験。青森山田では1年秋からベンチ入りした。50メートル走6秒0。憧れの選手はレッドソックス・吉田。1メートル68、75キロ。右投げ右打ち。

 ≪春2戦連続サヨナラは史上10度目≫青森山田が2試合連続サヨナラ勝利で8強進出。選抜の2試合連続サヨナラ勝ちは昨年の報徳学園に次ぎ2年連続10度目。東北勢では初。また、青森山田の8強は99年夏以来2度目で春は初めて。青森勢の春8強は56年八戸(4強)、87年八戸工大一(8強)、12年光星学院(準優勝)に次いで12年ぶり4度目となった。

 ≪蝦名が突破口≫チーム初安打は蝦名翔人(2年)だった。無安打だった8回先頭で代打出場。高尾のスライダーを捉えて左中間を破る二塁打を放ち、2点につなげた。さらに9回は1死から中前打でチャンスメーク。打線を活性化させた右打者は「自分の中でも自信になる。チームのためになれたことが一番」と喜んだ。

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