“ミスター社会人野球”トヨタ自動車・佐竹「ヤバい…」負ければ引退の試合であわやの打球も「楽しかった」

2024年07月20日 05:15

野球

“ミスター社会人野球”トヨタ自動車・佐竹「ヤバい…」負ければ引退の試合であわやの打球も「楽しかった」
<トヨタ自動車・沖縄電力>力投するトヨタ自動車・佐竹(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【第95回都市対抗野球第1日1回戦   トヨタ自動車1-0沖縄電力 ( 2024年7月19日    東京D )】 開幕し、1回戦1試合が行われ、前年覇者のトヨタ自動車(豊田市)が沖縄電力(浦添市)に1―0でサヨナラ勝ちした。今大会限りで現役を引退する佐竹功年投手(40)が9回2死一、三塁から救援。2死満塁を切り抜けた直後の攻撃でサヨナラ打が出て、勝利投手となった。苦しみながらも息詰まる投手戦を制して初戦を突破。2年連続3度目の優勝へ向け好スタートを切った。
 トヨタ自動車の誰もが思わず息をのんだ。同点の9回2死満塁。佐竹の直球を沖縄電力・金城長が右翼線に運んだ。ダイビングした右翼手のグラブがわずかに及ばない。「ヤバい…」。佐竹が現役生活の終焉(しゅうえん)を覚悟した瞬間、一塁塁審が両手を広げた。わずか1メートル、ファウルだった。

 「あの場面で、あの大歓声の中で、マウンドに立つことができて本当に楽しかった」

 トヨタ自動車に栄光の歴史をもたらし「ミスター社会人野球」と称される右腕は、1月に今大会限りでの引退を発表。花道となる都市対抗の開幕戦で、そのキャリアにふさわしい舞台が整った。0―0の9回にエース・嘉陽が2死一、三塁を招くと、藤原航平監督が動く。「困ったら佐竹です」。迷いはない。直近の過去4大会は登板機会のなかった背番号19が、5年ぶりに聖地に帰還した。

 金城長の打球がフェアならば走者一掃だった。それでも「抑えることが僕の仕事」とブレることはない。続く3球目のチェンジアップで一ゴロに仕留め、窮地を脱した。直後の攻撃では魂の火消しに応えるように、バッテリーを組む高祖が右翼線にサヨナラ打。都市対抗で通算13勝目をつかんだ40歳は「25日も試合ができるのは喜びしかない」と言った。

 右翼フェンス上部のリボンビジョン。「佐竹引退は7月30日以外ありえない!ベンチもスタンドも、みんなそう思っている!頼むぞ野球部! 豊田章男」。会長からは連覇を期待するメッセージが輝いていた。「7月30日まで野球をやりたいとみんなが思っている」と佐竹。レジェンドの夏は、まだまだ終わらない。(柳内 遼平)

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