ユーリ阿久井 大先輩ジョーの前で岡山県ジム所属初の世界王者!キビキビと攻め続けた
2024年01月24日 04:25
格闘技
「逃げ足が速くて捉えどころがない相手だったけれど、単発でもコツコツ当てていけた」
決定的な一打を繰り出すことはできなかったが、ジャッジ3人はいずれも4点以上の大差をつけた。リングサイドで岡山県出身の元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(大阪帝拳)も見守る中で完勝。「自分の出せる力をぶつけました。僕もうれしいし、周りが喜んでくれるのがうれしい」と歓喜した。
元ボクサーだった父・一彦氏の影響もあり、中学2年で倉敷守安ジムで本格的にボクシングを始めた。ボクシング部がなかった倉敷翠松高時代にはフィギュアスケートの先生に顧問になってもらって大会に出場。「岡山のボクシングの道を開く」と地元にこだわり、関東の大学から勧誘があったが、地元の環太平洋大に進んでプロになった。
地方ジムはスパーリング相手が十分ではないハンデがある。17年に中谷潤人(後に世界2階級制覇)に初黒星を喫して経験不足を実感すると、その後は積極的に出稽古し、対応力を高めた。デビューから10年でたどりついた世界戦は当初昨年11月の予定だった。同じ興行の出場選手のケガで仕切り直しとなったが、再調整してしっかり力を出し切った。
リングネームの「ユーリ」は旧ソ連出身で90年代にWBC世界フライ級王座を9度防衛した勇利アルバチャコフ(協栄)に顔が似ていることから名付けられた。
「まだまだ本家には及ばないけれど、超える存在になっていきたい」
ベルト奪取は岡山から世界へ羽ばたいたユーリ物語の序章に過ぎない。
≪「同じ岡山の人間として…」≫阿久井と同じ岡山県倉敷市出身の辰吉が観戦し、岡山県のジムから初めての世界王者誕生を喜んだ。「同じ岡山の人間として、うれしい。(倉敷守安ジムの)守安会長も喜んでいるやろ」。阿久井と直接的には面識はないというが「挑戦者らしく前に出てプレッシャーをかけたのが良かった。カウンターを狙われる恐怖もあるはずやのに…。初めての世界挑戦は怖いもの。エエ根性してる」と高く評価した。
【ユーリ阿久井政悟】
☆生まれとサイズ 1995年(平7)9月3日生まれ、岡山県倉敷市出身の28歳。身長1メートル63、リーチ1メートル68の右ボクサーファイター。
☆家族 妻と2女。父・一彦氏と叔父の赤沢貴之氏はともに元プロボクサー。
☆アマ実績 倉敷翠松高2、3年時の国体でベスト8。アマ戦績は20勝7敗。
☆プロでのタイトル 15年全日本ライトフライ級新人王。19年日本フライ級王座獲得。
☆好物 コカ・コーラとスニッカーズ。
☆目標のボクサー アレクシス・アルゲリョ、勇利アルバチャコフ。
☆夢 「銀河系最強」