ユーリ阿久井 大先輩ジョーの前で岡山県ジム所属初の世界王者!キビキビと攻め続けた

2024年01月24日 04:25

格闘技

ユーリ阿久井 大先輩ジョーの前で岡山県ジム所属初の世界王者!キビキビと攻め続けた
10R、ダラキアン(右)を攻めるユーリ阿久井(撮影・北條貴史) Photo By スポニチ
 【WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦   ○同級1位 ユーリ阿久井政悟《判定》王者 アルテム・ダラキアン● ( 2024年1月23日    エディオンアリーナ大阪 )】 WBA世界フライ級1位の挑戦者、ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)は、無敗だった王者アルテム・ダラキアン(36=ウクライナ)に3―0の判定で勝利し、初の世界王座を奪取した。ダウンを奪うことはなかったが、序盤から攻め続けて圧勝。岡山県のジム所属初の世界王者誕生となった。
 地方の小さなジムの挑戦者は我慢強く攻め続けた。足を使う王者を懸命に追い、阿久井が序盤からプレッシャーをかけた。2回に自慢の右がヒット。無敗の王者の巧みなボディーワークを前にパンチが空を切り、クリンチされる場面もあったが、攻勢を緩めることはない。11回には左が相手の顔面を捉えて、会場を沸かせた。

 「逃げ足が速くて捉えどころがない相手だったけれど、単発でもコツコツ当てていけた」

 決定的な一打を繰り出すことはできなかったが、ジャッジ3人はいずれも4点以上の大差をつけた。リングサイドで岡山県出身の元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(大阪帝拳)も見守る中で完勝。「自分の出せる力をぶつけました。僕もうれしいし、周りが喜んでくれるのがうれしい」と歓喜した。

 元ボクサーだった父・一彦氏の影響もあり、中学2年で倉敷守安ジムで本格的にボクシングを始めた。ボクシング部がなかった倉敷翠松高時代にはフィギュアスケートの先生に顧問になってもらって大会に出場。「岡山のボクシングの道を開く」と地元にこだわり、関東の大学から勧誘があったが、地元の環太平洋大に進んでプロになった。

 地方ジムはスパーリング相手が十分ではないハンデがある。17年に中谷潤人(後に世界2階級制覇)に初黒星を喫して経験不足を実感すると、その後は積極的に出稽古し、対応力を高めた。デビューから10年でたどりついた世界戦は当初昨年11月の予定だった。同じ興行の出場選手のケガで仕切り直しとなったが、再調整してしっかり力を出し切った。

 リングネームの「ユーリ」は旧ソ連出身で90年代にWBC世界フライ級王座を9度防衛した勇利アルバチャコフ(協栄)に顔が似ていることから名付けられた。

 「まだまだ本家には及ばないけれど、超える存在になっていきたい」

 ベルト奪取は岡山から世界へ羽ばたいたユーリ物語の序章に過ぎない。

 ≪「同じ岡山の人間として…」≫阿久井と同じ岡山県倉敷市出身の辰吉が観戦し、岡山県のジムから初めての世界王者誕生を喜んだ。「同じ岡山の人間として、うれしい。(倉敷守安ジムの)守安会長も喜んでいるやろ」。阿久井と直接的には面識はないというが「挑戦者らしく前に出てプレッシャーをかけたのが良かった。カウンターを狙われる恐怖もあるはずやのに…。初めての世界挑戦は怖いもの。エエ根性してる」と高く評価した。

 【ユーリ阿久井政悟】
 ☆生まれとサイズ 1995年(平7)9月3日生まれ、岡山県倉敷市出身の28歳。身長1メートル63、リーチ1メートル68の右ボクサーファイター。

 ☆家族 妻と2女。父・一彦氏と叔父の赤沢貴之氏はともに元プロボクサー。

 ☆アマ実績 倉敷翠松高2、3年時の国体でベスト8。アマ戦績は20勝7敗。

 ☆プロでのタイトル 15年全日本ライトフライ級新人王。19年日本フライ級王座獲得。

 ☆好物 コカ・コーラとスニッカーズ。

 ☆目標のボクサー アレクシス・アルゲリョ、勇利アルバチャコフ。

 ☆夢 「銀河系最強」

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