天心 “三度目の正直”で初KO!相手の続行不可能に苦笑いの3連勝「まじか」
2024年01月24日 04:45
格闘技
世界ランカーの戦意を喪失させる“KOスタイル”への変貌だった。立ち上がりから右ジャブ、左ボディーを次々にヒットさせると、3回途中から「L字ガード」に切り替え、じりじりと相手をロープに追い詰めると左ボディーアッパーで相手の動きを止めた。キック時代から含めて自身最軽量で挑んだ一戦で攻撃型への華麗なる転身を遂げた。
昨年1月のボクシング転向正式表明から約1年。4月のデビュー戦、同9月の2戦目ではともにダウンを奪う完勝もKO勝利を逃した。「KOする詐欺をやめたい」と10日の公開練習ではこの試合への決意を口にしていた。前戦の試合中に骨折した左拳の約2カ月のリハビリ期間で「倒すため」のステップや右手の強化にも取り組んだ。同11月には同門選手らと3度目のゴルフ場走り込み合宿。過去2回は常に最下位だったが、3度目は同等のペースで走りきるなど体力面でも進化していた。
周囲からKOを期待されるあまり重圧にも苦しんでいた。大阪入りの前、正月に那須川と顔を合わせた父・弘幸氏は愛息のわずかな変化を感じ取っていた。「これまでと比べて思い詰めているようにも見えた」。そんな父の不安を一蹴するかのような完勝に「詐欺撲滅ですね」と笑った。
「もちろん世界チャンピオンは意識するが、まずは何のベルトも持っていないので日本でも東洋でもチャレンジしたい」と年内にバンタム級(53・5キロ)でタイトルを狙うことを宣言。キックの“神童”がボクシング界で新たな才能を開花させた。