田中恒成 史上最速で世界4階級制覇!デラホーヤ超え21戦目「満足できていない自分がうれしい」判定圧勝

2024年02月24日 19:43

格闘技

田中恒成 史上最速で世界4階級制覇!デラホーヤ超え21戦目「満足できていない自分がうれしい」判定圧勝
<トリプル世界戦 田中恒成・クリスチャン・バカセグア>バカセグアに強烈なパンチを浴びせる田中(撮影・沢田 明徳) Photo By スポニチ
 【プロボクシング「Prime Video Presents Live Boxing7」   〇田中恒成 判定3―0 クリスチャン・バカセグア● ( 2024年2月24日    東京・両国国技館 )】 ボクシング興行「Prime Video Presents Live Boxing7」が24日、東京・両国国技館で行われ、WBO世界スーパーフライ級王座決定戦は同級1位の田中恒成(28=畑中)が同級2位クリスチャン・バカセグア(26=メキシコ)を判定3―0で下し、日本男子3人目の世界4階級制覇を達成した。
 プロ21戦目の4階級制覇は、“ゴールデンボーイ”オスカー・デラホーヤ(米国)の24戦目を抜いて世界最速となる。

 第1ラウンドからお互いにジャブでペースを握ろうと積極的に前に出た。田中は、冷静に相手パンチをさばきにいくが、第2ラウンドでは大振りの左右フックを被弾する場面も。しかし、第3ラウンドに、強烈な左ボディーと右カウンターを放ち、バカセグアの顔を歪めさせた。

 第5ラウンドには偶然のバッティングでバカセグアの左目上から出血。中断もある中で、アッパー気味の強烈なボディーを何発もねじ込み相手をグラつかせた。第6、7ラウンドは、顔面に左を連打後に左ボディーと効果的なコンビネーションを見せ、左右のパンチを何発もボディーに打ち込んだ。

 そして、ついに第8ラウンド終盤に強烈なボディーで体をくの字に折り曲げ、苦もんの表情を見せたバカセグアに田中が猛ラッシュ。バカセグアに初めてダウンの屈辱を経験させた。その後は完全にペースを握った田中。最終12ラウンドには強烈な右2発からの猛ラッシュで圧倒した。

 大差の判定勝利を飾り、リング上で勝利インタビューを受けた田中は「このベルトが欲しかった」とホッとひと息。世界最速記録となるプロ21戦目での4階級制覇達成の心境を問われると「3年2カ月ぶりの世界戦で、こうして勝てて、もちろんうれしいはずなんですけどけど、満足できていない自分がいることが、うれしいです」と倒し切れなかった結果を踏まえつつ、笑顔を見せた。

 最後に、4団体統一、そして“因縁”の井岡との再戦への思いを語った田中。マルチネス戦、そしてリベンジマッチへ――。田中にとって今回の勝利は「通過点」でしかない。

 20年大みそか、最初の4階級制覇挑戦は当時のWBO王者・井岡一翔(現・志成)に8回TKO負けし失敗。プロ初黒星で「自分のこれまで全てを否定してしまうような」最悪の心理状態に陥った。

 どん底から仲間の助けを借りて再起した。井岡戦を区切りに父・斉(ひとし)さんがメインのトレーナーを降りた。敗戦が理由ではない。幼少期からスパルタで父に格闘技を仕込まれ、プロでもサポート態勢はその延長線上。田中が「環境を変えることを望んだ」。勝敗にかかわらず“親離れ”すると決めていた。井岡戦をきっかけに世界へ大きく羽ばたくための独り立ちが、もう一度、立ち上がるためのものに変わっただけだった。

 畑中ジムの古株、村田大輔トレーナーと新コンビ結成。フィジカル担当やマネジャーを含む新たな「チーム恒成」のリーダーは自分自身。それまで父に「引っ張られ、あおられるように練習で追い込んだ」環境は大きく変化した。「自分がヤル気を出さなければ、その日の練習がムダになる」。以前はロードワーク嫌いを公言した男に自覚が芽生えた。

 21年夏に両国国技館で開催された東京五輪ボクシング競技で兄・亮明がフライ級の銅メダルを獲得した。日本代表を争う過程、本番の激闘に「感動した。自分も生まれ変わりたい。感動を与えたい」と触発された。井岡戦で最重要課題と認識した守備をはじめボクシング技術をもう一度、基礎から学んだ。

 世界最速21戦目の4階級制覇はあくまで「通過点」だ。現級進出当時から「この階級の強い選手を全部、倒したい。4つのベルトを全部取りたい」と4団体統一を掲げた。その過程に現在は井岡へのリベンジが含まれる。「統一戦で、また対戦できるなら今でも戦いたい」。世界王座へ返り咲き、その機運醸成の第一歩とした。

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