腸寿への道 増やしたいのは5大ご長寿菌
2024年03月29日 05:00
芸能
江田先生、著書でも紹介されてますが、腸にとっての「5大ご長寿菌」というのがあるそうですね。
「善玉菌のビフィズス菌、乳酸菌、そして今注目されている酪酸菌、アッカーマンシア・ムシニフィラ、フェカリバクテリウム・プラウスニッツィの5つです」
ビフィズス菌、乳酸菌は有名ですし、酪酸菌も最近よく聞きます。舌をかみそうな、あとの2つは初めて聞きました。興味がある方、多いと思います。
「アッカーマンシア・ムシニフィラは、腸の表面の粘液を増やし、腸から有害な毒素が血液中に漏れ出すのを防止します」
“リーキーガット”というやつですね。
「有害毒素が血管に入り込むと、それが全身に広がり各所に炎症が発生。それが老化につながっていくというわけです。“長生き遺伝子”といわれるサーチュイン遺伝子を活性化する物質を作ることも知られています。肥満患者の糖尿病が改善したというデータもあります」
アッカーマンシア・ムシニフィラ、ぜひとも増やしたいですね。どうすればいいですか?
「ブドウ、ブルーベリーなどのベリー類に含まれるポリフェノール、緑茶のカテキンを取ることで増えます」
緑茶は身近だからいいですね。カフェインの取り過ぎには注意しないといけませんが。
フェカリバクテリウム・プラウスニッツィはどんな菌ですか?
「体内の炎症を抑える働きがあり、抗炎症菌ともいわれます。高血圧、メタボ、糖尿病など成人病の方は、このフェカリバクテリウム菌が少ない傾向があります。慢性的な炎症が起きるので、老化していくわけです。代謝を上げて、若々しさを保つ菌でもあるので、痩せ形の高齢者は多く持っています」
若くいられるんですね。この菌も増やしたいです。何を食べればいいですか?
「フェカリバクテリウム菌の栄養源となる水溶性食物繊維が多く含まれるワカメ、コンブ、ヒジキなど褐藻類と呼ばれる海藻をお薦めします。野菜、果物ならゴボウ、タマネギ、トマトやバナナなど。高カカオチョコレートも効果があります」
略しちゃいますけど、アッカーマンシアもフェカリバクテリウムも、意識して増やしていきたいですね。
「この2つは、過剰な免疫反応を抑える物質を作り出すので、花粉症にも効果があると考えられています」
ますます増やしたくなりました。
日本は長寿国。やっぱり、日本食がいいんですかね。
「味噌、納豆、漬物など発酵食品は腸内細菌にとっていい食材です。60歳を過ぎると善玉菌の減少が顕著になるというデータがありますが、最近の研究で、食生活で腸内細菌は確実に変えられるということも分かっています。日本人約1600人を対象に食物繊維中心の食事を取ってもらったところ、8週間後に腸内細菌が健康的なバランスに劇的に改善されたという結果も出ています」
男女差はどうでしょうか。女性の方が長生きですが。
「実は日本人の腸内細菌は男女差が大きいんです。女性はビフィズス菌、アッカーマンシア・ムシニフィラなどの善玉菌が多い。一方男性は、口臭の原因菌ともいわれるフソバクテリウムなど大腸がんにつながる菌が多い傾向があります」
これが寿命の差ですか。
「もう一つ、免疫細胞を供給する胸腺という器官の萎縮が、男性の方が女性より早いということも挙げられます。胸腺萎縮の予防には、ピーマンがいいです。リンパ球が増えた、免疫機能が上がったというデータがあります。男性にはピーマンを食べることをお勧めします」
腸が寿命と深い関係にあることが分かりました。日々、腸の調子には気を使いましょう。長寿は腸から、ですよ。
◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。75歳の現役医師・鎌田實さんとの共著「70歳からの『貯筋』習慣」(青春出版社)が販売中。