森田望智“憑依型”高評価に感謝も「どの役もめっちゃ私」変幻自在の演技の裏側「虎に翼」花江役でも存在感
2024年07月12日 12:02
芸能
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向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪寅子(ともこ)の人生を描く。吉田氏は初の朝ドラ脚本。女優の伊藤沙莉は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。
森田の朝ドラ出演は21年度前期「おかえりモネ」以来3年ぶり2作目。今回演じる花江は、寅子の兄・直道(上川周作)の妻。2人の息子、直人と直治を授かった。直道が戦死し、義母・はる(石田ゆり子)が亡くなった後は寅子の“妻”が如く、猪爪家のもう一人の大黒柱として家族を支えてきた。
11年にCMデビューし、芸能活動を開始。13年に映画、ドラマデビューを果たし、数々の作品に出演。今年4月には、ヒロイン・槇村香役を演じる実写版「シティーハンター」(Netflix)も配信。「花江役と“中の人”が同じとは思えない」などの声が上がるなど、面目躍如。作品毎に視聴者を魅了している。
“憑依型”評には「そう言っていただくこともありますが、ただ、自分としてはあまり憑依という感覚はなくて。“あの役は素の森田さんに近いね”とか“全然違うね”とか色々と感想を頂くんですけど、自分としてはどの役を見ても“めっちゃ私だ。恥ずかしい”(笑)と思ってしまうんですよね」と胸中を明かした。
「私が役を演じる時は、森田望智という枠の過去の部分であったり、現在の部分であったり、自分の中にある要素を1つ選んで、それを広げている、みたいなイメージ。自分の中にあるものでしか役はできない、役をどう捉えるかは自分の考え方や経験次第と思っているので、そういう意味で私としては“自分と役は全く別物”ではないんです。だから、それぞれの役で印象が変わると言っていただけるのは、ありがたく思っています」
森田の場合、真摯な取り組みや入念な準備の結果、役が“降りてくる”のだと、今回のインタビューで伝わった。
第60回(6月21日)、遺言通り、はるの日記を寅子と花江が火に焚べるシーン。寅子が「私のお母さんが、お母さんでよかった」と吐露した後、2人の涙のやり取りはカットがかからずのアドリブだった。
「たぶん1~2分ぐらいカメラを回していただいて。半年以上、撮影を続けてきて、関係性を積み上げてきた朝ドラだからこそ生まれたシーンでした。はるさん・ゆり子さんに対する沙莉ちゃんと私の気持ちが役を超えて通じ合った瞬間。お芝居の楽しさをあらためて実感しました。オンエアで全部は使われていないですけど、私の、そして花江ちゃんの記憶の中にも、その1~2分の情景が残っているんですね。大事なのは、アドリブが使われるかどうかではなくて、役としての思い出を少しでも長くつくっていけるかどうか。今後、花江ちゃんを演じる上で、凄く大切な時間になったと思います」
第15週(7月8~12日)は花江の感情が爆発し、家庭を顧みなかった寅子と“夫婦喧嘩”。最終的に寅子は一人娘・優未(竹澤咲子)との新潟赴任を決断した。
この週は花江の台詞の中にも「(スンッと)~」などと書かれていることが度々。「はて?」とともに今作の代名詞になった「スンッ」について尋ねると「総じて共通しているのは、自分の気持ちを抑えている時に出る表情や態度ですよね」とし、数種類の「スンッ」を即答で分析した。
「現場に入ってからは何も考えずにお芝居に臨むんですけど、前段階では考えに考えるタイプ。作品に思いを馳せたの時間が、本番で役に乗る時があって、はるさんの日記を燃やすシーンなんかもそうかもしれませんけど、花江ちゃんがまだ気づいていない感情や本質的な部分に、私が気づけたりすることがあるんですよね」
吉田氏が「ある意味、もう一人の主人公のつもりで書いています」と託し、制作統括の尾崎裕和チーフプロデューサーが「寅子が最も長く時間を共にするキャラクターかもしれません」と予告した花江。第41回(5月21日)、戦死した直道との結婚写真を持つ手が微かに震えるなど、細部にまで行き届く演技も印象的。最終盤まで森田の一挙手一投足に目を凝らしたい。
=インタビュー終わり=