【スポニチ・ボート・クラブ ボート記者コラム白鳥幹太】愛着ある捨て難い一枚を

2024年08月27日 04:30

ボートレース

 私事だが、先月末に父親を天国に見送った。91歳の大往生。昔話に花を咲かせながら実家で遺品を整理していると、姉が「何コレ?」と笑い転げていた。出てきたのは昭和40年代に書かれた母から父へ向けた大量のラブレターだった。赤面を通り越すような求愛文がつづられており、「よくもこれだけ愛を語れるものよね」と、残された一同、ただ爆笑するしかなかった。
 便箋を改めて眺めてみると、ほとんど黄ばむことなく、万年筆のインクがにじんでいることもない。実にきれいに保管されていた。50年以上も前に書かれた思い出の一枚がこんな形で残るのか…。

 恋文を見て「紙」を生業にする記者にとっては、さまざまな思いが交錯した。日常業務でヒーロー、ヒロイン原稿を書き続けているが、果たしてどこまで読者の心に響いているのだろうか?

 初優勝を成し遂げた選手から後日談として「自分では全然実感が湧かなかったけど、周りの方にテレビや新聞を見たよ、と言われるようになって、ようやく実感が湧いてきましたね」と感謝されることも多い。

 選手本人よりも、そのご両親やご子息、ファンの方々に喜んでいただける紙面を提供することができれば、との思いを最近は強く持っている。

 27日に香川県のボートレースまるがめで幕を開けたSGボートレースメモリアルも月をまたいで月初に最終日優勝戦を迎える。

 晩夏の決戦。果たして誰が最後にスポットライトを浴びるのか。ファンの方に「せっかくだから、この日のスポニチは捨てないで取っておこうかな…」。こう思ってもらえるような紙面をお届けできるよう汗まみれになりながら筆を走らせている。

 20年、30年後に押し入れから黄ばんだ紙面が出てきて「舟券ではよくヤラれたけど、この選手、好きだったんだよな」と笑顔で振り返ってもらえれば、紙に携わる人間にとって無上の喜びを感じる瞬間でもある。

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