坂田大輔氏 Jリーガーから代理人へ異色の挑戦! 指導者の道選ばず「やりがいのある仕事」
2023年10月04日 05:05
サッカー
新制度では、ライセンスを持たない代理人は、これまで契約を結んでいた既存選手にも接触できない。2度目の試験も不合格なら、選手を手放さざるを得ない状況だっただけに「プレッシャーとかストレスは半端なかった」という。
ライセンス試験はFIFAの公用語である英語、スペイン語、フランス語から選択。受講者はレギュレーションを前もってダウンロードで入手できたものの、量は実に700ページにも及んだ。
「(FIFAから)指定された翻訳機は使用できるんですが、引っかけ問題が多い上に、エージェント業務とは関係ないコンプライアンス系の問題も多くあったので、それは大変でした」
1度目の試験は「どんな問題が出てくるか想像できなかった」と不合格。それでも諦めず、逆にギアを上げて猛勉強し、見事に2度目でクリアした。
現役時代は快足FWとして鳴らし、A代表にも選出された坂田氏。引退後は福岡などから指導者の話もあったというが、自身の代理人で、鎌田大地や久保建英らを顧客に抱える「スポーツコンサルティングジャパン」代表のロベルト佃氏の誘いもあり、「やりがいのある仕事だなと思っていた」と、元々興味のあった代理人業界へ足を踏み入れた。
19年4月に入社し、1年の“社会人修業期間”を経て仲介人登録。20年からはコロナ禍が襲い、試合観戦はおろか選手と接触できない時期が続いたが、今後は大学の試合などにも積極的に足を運びたい意向だ。
「僕もずっとサッカーをやってきたから、原石みたいな若い選手が、どうやって伸びていくとかも見てきた。そういう比較ができたり、プレー面でアドバイスできるのは、間違いなく利点だと思う」
武器は、数少ない元選手の代理人だから持つ独特の視点と感性。今回の制度変更により、仲介人時代からの業務内容に大きな変化はないというが、坂田氏は今後へ「コミュニケーションを大事にして、僕はお互いに話し合ってもろもろを決めていきたい。とにかく長く活躍できるような選手をいかに若い時に発見して、国内、海外にかかわらず、いい選択肢を持てるようにアプローチしていければいいと思う」と抱負を語った。(垣内 一之)
◇坂田 大輔(さかた・だいすけ)1983年(昭58)1月16日生まれ、横浜市出身の40歳。横浜ユース出身で、01年にトップ昇格。スピードを武器に03、04年にはリーグ連覇を経験。11年1月にギリシャ1部アリス・テッサロニキに移籍。クラブの財政難により半年後にFC東京入りし、12年から引退する17年まで福岡でプレー。J1通算271試合48得点。J2通算187試合29得点。日本代表は各年代で選出され、03年Wユース(現U―20W杯)では得点王を獲得。オシムジャパン時代の06年8月にA代表デビュー。国際Aマッチ1試合。
≪取得必須の新制度≫FIFAは15年4月に導入した各国協会における登録制だった仲介人制度を廃止し、新たに「FIFA Football Agent Regulations(FFAR)」を導入。これにより旧ライセンスを持たず活動していた仲介人や新規参入者は、10月1日以降にエージェント業務を行うためにはFIFAが実施する試験に合格し、ライセンスを取得することが必須となった。元Jリーガーでは元日本代表FW西沢明訓氏、鈴木規郎氏らもライセンス取得。
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