堀越が16強 戦術、交代交代は選手が決定 「ボトムアップ方式」の採用は「野球との違い」にあり

2023年12月31日 16:40

サッカー

堀越が16強 戦術、交代交代は選手が決定 「ボトムアップ方式」の採用は「野球との違い」にあり
<初芝橋本・堀越>PK戦、堀越GK・吉富がPKを止めて試合に勝利する (撮影・白鳥 佳樹) Photo By スポニチ
 【第102回全国高校サッカー選手権1回戦   堀越0―0初芝橋本(PK戦 堀越8―7初芝橋本) ( 2023年12月31日    駒沢 )】 堀越(東京)はスコアレスで80分を戦い抜き、8人の選手が蹴り合ったPK戦の末、初芝橋本(和歌山)に競り勝った。初芝橋本が試合の主導権を握り続けたが、粘り強い守備でPK戦に持ち込み、8強入りした20年大会以来3年ぶり3度目の16強進出を決めた。
 スコアレスで突入したPK戦。両チーム7人の選手が蹴っても決着はつかず。張り詰めた空気の中、8人目に突入したが、堀越のFW中村健太主将(3年)は「負けることはない」と確信していた。前日練習ではGKを含めて11人全員がPK成功。8人目のDF竹内がネットを揺らすと、直後にGK吉富が左手でゴールを死守。歓喜の瞬間を迎え、堀越の控え選手が一斉にピッチへ走り出した。

 佐藤実監督が「初芝橋本さんのゲームだった。相手の狙いもはまっていたし、チャンスの数も相当、向こうが多かった」と語る通り、試合を支配したのは初芝橋本だった。堀越は何度もゴール前でピンチを招くも、最後まで球際で足を伸ばし続けた。自信を持つPK戦に持ち込み、中村主将は「セットプレーでやられなかった。しっかり守りきれてゼロで抑えられたから勝利できました」と胸を張った。

 サッカーは監督の戦術、哲学が色濃く出るスポーツ。それでも堀越は選手が戦術、交代選手を決める異色の「ボトムアップ方式」を採用する。この試合でも中村主将を中心に選手が試合前に交代プランを決め、コーチと共有。そして中村主将が試合中に「交代タイミング」をベンチに伝えた。67分にFW伊藤が退き、FW小泉がピッチに入った。選手自身で起用する選手も決定。「託せる選手」をキーに決めた20人のベンチ入り選手で一体となって戦った。

 なぜ「ボトムアップ方式」か。佐藤監督は「僕自身が選手をやっている時に監督の力が凄く大きいと思っていた。特にこの高校生年代では。だけど、彼らが実際にゲームで判断することにサインは出せない。野球と違ってブロックサインを出したり、戦術交代をしたりとか、流れができてしまう中ではそこまではいけない。スポーツ自体がとても流れていくスポーツなので選手がやりきる力を成長させたい。このやり方で彼らが成功、失敗を経験し、社会で生きていくモノをつかんでいければいい」。選手として、1人の人間として、成長を促している。

 「しっかり地に足をつけて1つずつ勝っていきたい」と中村主将。「自主性」を重んじる堀越が同校最高タイの8強入りを懸け、次戦に挑む。(柳内 遼平)

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