FIFAが定める行動規範は「PLAY TO WIN」 スポーツの根幹に関わる西野Jパス回し論争
2018年07月02日 12:00
スポーツ
さすがに賛同を得ることはなかったというが、サッカーW杯で日本代表がポーランド戦の最終盤に行った消極的な試合運びは、この国の隅々にまで議論を呼んでいる。ちなみに15年W杯のサモア戦、日本代表はFB五郎丸歩がボールを自陣のインゴール裏へと蹴り出し、26―5で勝利を収めている。
私もサッカー取材については門外漢だが、自分なりに考察した。数多の識者やトップアスリート、ファンによる賛否両論を読んだり、直接聞いたりしたが、あの10分間を見た第一印象、すなわち「嫌悪感」は払しょくできそうにない。
より上位を目指す、究極的には優勝を目指すという日本代表の目的意識は正しい。ただしそれは、たとえ勝ち点制のリーグ戦であっても、1つの試合に勝ちに行くということを大前提としなければならない。リード、あるいは同点の状況でボール回しするなら否定しない。今回はリードを許している状況で、同組のコロンビア―セネガル戦の結果頼みの「負け逃げ」だった。この点において、勝ち逃げ行為とは全く異質であり、「勝利を目指す」という全てのスポーツの普遍性、根幹を否定する行為だった。
擁護派の意見には「ルール内だった」とする声が聞こえるが、果たしてそうだろうか。FIFAが定める行動規範は、最初に「PLAY TO WIN」とあり、「Winning is the object of playing any game(どのような試合でも勝利が目的となる)」とある。日本サッカー協会(JFA)も行動規範の最初の項目で「最善の努力 どんな状況でも、勝利のため、またひとつのゴールのために、最後まで全力を尽くしてプレーする」と定める。
競技規則(ルール)が法律だとすれば、行動規範は言わば憲法。「ルール内」という主張は正しいとは言えない。12年ロンドン五輪のバドミントン女子ダブルスでは、決勝トーナメントの組み合わせを有利にしようと、無気力試合をした4組が失格処分を受けた例がある。この時も厳罰の根拠となったのは、世界バドミントン連盟が定める行動規範だった。
FIFAは最新の競技規則の「将来へ向けて」という項目で、こう掲げている。
「measures to tackle time―wasting(時間浪費への対抗措置)」
五輪をしのぐ市場規模を誇る、世界で最も注目を集めるスポーツイベントだからこそ、主催者の明確な見解がほしい。(阿部 令)
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