柔道・大野将平、天理大で叩き込まれた「集中・執念・我慢」 ケツメイシにもらった「覚悟」

2020年01月02日 05:30

柔道

柔道・大野将平、天理大で叩き込まれた「集中・執念・我慢」 ケツメイシにもらった「覚悟」
笑顔で質問に答える大野(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
【カトパン突撃!東京五輪伝説の胎動 拡大版(下)】
――柔道を始めたのは?

「7歳と言っているんですけど、もっと小さい時に柔道着を着てる写真がある。初めての大会が銀メダルで悔しかった。いちいち負けて泣いてましたね」

――泣くイメージは全くないですね。

「感情がなくなったんですかね。今は勝っても負けても泣かなくなった(笑い)。半べそをかくのは、良い稽古ができなかった時。寝るまで引きずるタイプ。柔道だけは悔しい熱量を持続できますね」

――負けることは?

「悪いことじゃないと思えるようになった。最近は1年半くらい負けてない。18年4月に海老沼匡先輩に負けた時は楽な気持ちに。寝込むこともなかった。マッサージして治療して、スッとすぐに飲みにいきました(笑い)」

――中高時代に名門の講道学舎で実力を磨いた?

「虎の穴で過ごしました。ここでは言えないことしかない。テレビなら“ピー”という音を入れないと。入れば勝手に強くなると思ったら…人生を間違えた(笑い)」

――お兄さんの存在は大きかった?

「中高大と一緒の環境。兄はチャンピオンで僕は名前ではなく“大野の弟”という呼ばれ方だった。自分の名前をとどろかせたいという野心はありました。優しい兄なのでのんきに応援してくれてます」

――中高時代はそんなに厳しかった?

「シドニー五輪金メダリストの瀧本誠先輩と稽古したのはメチャクチャ覚えています。僕は中学1年。入門初日の1本目にやって絞め落とされました」

――えっ?失神?

「笑いながらスッと落とされた。絞め技が上手な人は苦しくないんですよ。フワッと気持ちがいい感覚ですね(笑い)」

――世界王者クラスと稽古できたのは財産ですか?

「五輪王者と中高生が普通は稽古をすることはない。それは恵まれていた。先輩の技術を取り入れた僕は歴代王者のミックス。そりゃ強くなりますよ」

――食事は楽しみだった?

「レギュラーだと寮の食事に加えて肉やお寿司があったりしました。僕は体も小さかったんでうれしくなかった。『日本昔ばなし』みたいなラーメン丼を2つ合体させたご飯を出される。あれっ?嫌な話しかしてないですね(笑い)」

――天理大では「正しく組んで正しく投げる」ということを突き詰めた?

「シンプルに子供たちが格好良いとか、大野のようになりたいと思う柔道をやっていきたい。全盛期の先輩と勝負することはできないですけど今の大野が柔道の歴史上最強と言われるまでになりたい。そうなるためにも東京五輪の連覇が必要ですね」

――“木村の前に木村なし、木村の後に木村なし”と言われた木村政彦先生のような存在?

「間違いない。それくらいになりたいですね。中量級でもダイナミックな柔道ができることを証明したい」

――リオ五輪の後、柔道と少し距離を置いて大学院で競技を研究。その時間は大切なものでしたか?

「机に向かった時間は何物にも代え難い。セカンドキャリアで指導者としての選択肢も増えた。1年間休んでもトップクラスに戻れることも示せた。修士論文は自分の技を研究しただけですけど感覚的にやってきたことを理論的に組み立てられるようになった」

――最大の武器は大外刈りと内股?

「大外刈りは初めての得意技。恩師に中学3年生の時から脇を持つこととセットで、自分より大きな相手は押して、後ろに下がれば大外刈りをしろと言われた。得意技がなかったんですけど毎日打ち込みを1000本。内股は兄の得意技。なんとなく指導してもらって形になった。その二本柱で勝っているのかなと思います」

――今は奈良県天理市を拠点に生活。どんなところですか?

「柔道をやるには最高の環境。休みもあまりないんですけど、時間ができたら近くの健康ランドにひたすら行ってます」

――サウナでリフレッシュするんですか?

「水風呂に入りにいく感覚です。体重調整もあるので。それでおいしいものを食べる。焼き肉屋のマスターや大将が顔を覚えていてくれておいしい肉を出してくれる。これが楽しみ。あとは家。自分の匂いに仕上がった部屋が一番落ち着く。アロマのデュフューザーとかも入れてるんで(笑い)」

――試合の時は独特の緊張感がある?

「試合前はそんなにピリピリしていない。試合中は怖いオーラを出しているようですけどね。天理大の監督に叩き込まれた“集中・執念・我慢”という言葉。呪文のように言われていたので自分も言うようになった。勝負ごとに大事な3つと思ってます」

――音楽は聴いたりしますか?

「意外と聴かずに周りの雑音を聞いている。話しかけてほしくない時は音なしでイヤホンを耳に入れている。あれは効きます。誰も話しかけてこないですね(笑い)」

――今年の目標を漢字で表すと?

「“覚悟”です。ケツメイシに『覚悟はいいか』って歌があるんです。メンバーの大蔵さんと親交がありまして、僕を思い描いて歌詞を書いてくれた。19年の世界選手権で勝った後に会場で流したんです」

――東京五輪には覚悟を持ってということですね。

「♪ここまで辛抱してよく耐えた あと一歩を力に変えた 負けかけたけど鬼になれた――という3番の歌詞が僕のことを歌ってくれている。覚悟があれば何でもできると思っているので頑張ります」

――私もケツメイシさんの「ライフイズビューティフル」という曲が大好きです。仕事でつらかった時に、あの曲を聴いて励まされました。音楽は力になりますよね。ところで好きな芸能人はいますか?

「最近、ハマっているのはクロちゃん。バラエティー番組の『水曜日のダウンタウン』でゲスさ加減があまりにも素晴らしい。何でも突き抜けると芸術だと思います(笑い)」

――昔、番組で共演していたビビる大木さんからクロちゃんのロクでもない動画が一日1回くらい送られてくるんです。無視しているんですけど、何なんですかね一体。でも、どの世界でも突き抜けることは大事なことかもしれませんね(笑い)。

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