五輪延期をプラスに変えて――ソフトボール ポニーテールの19歳・後藤、新エース名乗り!

2021年01月02日 09:15

ソフトボール

五輪延期をプラスに変えて――ソフトボール ポニーテールの19歳・後藤、新エース名乗り!
代表入りへ意欲をみせる後藤希友 Photo By スポニチ
 【「2020+α」 Restart To TOKYO 】 空白の時間を、力に変える。スポニチ本紙では「2020+α」と題し、挫折や不調などを経て1年延期をプラスに捉えるアスリートを特集する。
 ソフトボールの日本代表候補で最年少の後藤希友(みう)投手(19=トヨタ自動車)も20年にブレークした。1球ごとに、一つにまとめた髪がフワッと揺れる。ポニーテールのサウスポー・後藤の最速は113キロを誇る。野球における体感速度「150キロ以上」とされる110キロを超えるのが、トップクラスの証。その上、微妙に動く。本人も「どっちに動くか分からない」というムービングファストボールだ。チェンジアップも切れる。東京五輪ではワンポイントやリリーフの「左キラー」を狙っている。

 「そう簡単に代表に入れるとは思っていません。全力でやって、3月の代表発表の時に名前がなければ、そこまでの実力。ピンチを断って流れを引き戻す投球をしたいです」

 勝負師のようなコメントにたくましさが宿る。代表枠は15人。投手は4人が有力。先発の上野由岐子、藤田倭は確定。残りを、左腕の後藤と尾崎望良、右腕の浜村ゆかりと勝股美咲の4人が競う。

 高卒1年目の一昨年11月、故障者が出たことで代表合宿に呼ばれた。年が明けた1、2月のオーストラリア遠征は「アピールしないといけない」と、3試合8回2/3を無失点。1安打、11奪三振の快投で評価を高めた。9月に開幕した昨季の国内リーグ戦も5勝無敗と大ブレーク。五輪1年延期のチャンスを生かそうとしている。

 年齢制限がない国際舞台でまともに投げたのは昨年のオーストラリアだけで、各国のデータ分析網に引っかかっていないのはプラス材料だ。「いいリリーフになりたい」という目標をかなえる相手は、左打者が5、6人並ぶ最大のライバル米国になる。

 ボーイッシュだった髪形はこの1年で伸びた。目前の「成人式のため」とはいえ、所属するトヨタ自動車の影響もある。代表でもチームメートのポニーテールの強打者、山崎早紀は「女性らしく見られるように心掛け、それをソフトボールにつなげるように、と会社で言われています」と企業文化を説明する。同僚で代表候補の峰幸代も同じように後ろで一つに結ぶ。

 髪の長さは個性であり自由。短い方がプレーしやすい選手も多い。ただ、長髪の割合が米国に比べて少ないのは確か。10代の国際大会はもっと顕著で、日本は自由が少ない印象を持たせる。各チームのその年の方針で「耳にかからない」と決めたのなら異論を挟まないが、慣例的な見えない圧力があるなら寂しさを感じさせる。

 かつてショートヘアだった後藤は「日本のスタイルも格好いいけど髪を伸ばすのも一つの格好良さ」と、成人式後のバッサリに迷いが出ている。ポニーテールを揺らして打者をきりきり舞い。その姿もまた、五輪で絵になりそうだ。

 ◆後藤 希友(ごとう・みう)
 ☆生まれとサイズ☆ 2001年(平13)3月2日生まれ、名古屋市出身の19歳。1メートル74の長身左腕。兄の佑友(ゆう)さんも「友」で「う」と読む。
 ☆少女時代☆ 水泳、バスケットボール、テニスの他に冬は家族でスノーボードやスキー。野立小4年からソフトボールを始め、春夏はソフト、秋冬はバスケの二刀流で活躍。小6まではピアノも習った。「今も気分転換に弾く」。
 ☆球速☆ 4年から投手で、日比野中で開花。中3で105キロ。愛知・東海学園高で110キロに達し、3年夏に全国高校総体で優勝。今はMAX113キロ。左右ともに47キロもあった握力が快速球の源?
 ☆眼鏡☆ 試合中の捕手のサインが見づらく、今年から着用。視力は左右ともに裸眼で0・7。
 ☆トヨタ☆ 米国のエース・アボットはチームメート。「試合に臨むための気持ちのつくり方、切り替え方を学んだ」。普段は科技学園豊田高で事務職。

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