日本・坂手淳史主将 4強へ最強ブレンド!コーヒーがつないだ元主将リーチとOUR TEAM魂
2023年03月08日 05:00
ラグビー
昨年5月、日本代表の主将に就任した。チームは外国出身選手が多い多国籍軍。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は「坂手には責任感があり、チームに団結力をもたらしてくれる」との理由から任命。「日本人(の主将)として、どうドライブをしていくか。みんなを一つの方向に向けてほしい」と託した。
京都成章高、帝京大、埼玉と各カテゴリーで主将を担ってきた。自他ともに認める“ザ・キャプテン”だが、壁にぶつかった。昨夏のフランス2連戦は、連敗。イングランドやニュージーランドなど強豪と対戦した秋も、6試合で1勝するのがやっとだった。「勝てなくても次の週には準備しないといけない。どういうことをしゃべればいいのか、何をフォーカスしていくか悩んだ」という。
支えとなったのは桜の闘将の心得を知る男の存在だった。遠征先の宿舎でチームをどう率いていくべきか、一人思い悩んでいた時、部屋をノックしてくれたのが2大会連続W杯で主将を務めたリーチ・マイケル(BL東京)だった。お互い大好きなコーヒーを手に、せんべいを食べながら、率直に思いを打ち明けた。「僕が見えているところと、周りの選手が見えているところの違いが分からなかった時があった。そういう時はリーチさんに“どういう状況ですか?”“どうですか?”とか。(毎回)1時間くらいしゃべってた」。もやもやとしていた気持ちはいつしか晴れ、リーダーとして進むべき道が見えた。
就任当初は自ら責任を抱え込むことが多かったが、リーチの助けもあり各ポジションのリーダー陣と分担できるようになった。その姿は新スローガン「Our Team」に込められた意味である「自分たちのチームになるため、一人一人が責任を果たし、全員で考え、みんなでチームをつくっていく」にも通じている。
大好きなコーヒーはチームをつなげるツールの一つ。昨秋の欧州遠征では「ガッキー(稲垣啓太)さんとか、中野将伍と一緒にコーヒーショップを回った」と“飲みニケーション”。今秋の本番でベースキャンプ地となるトゥールーズの過ごし方も“予習”済みだ。
今秋の目標について、自然と何度も口にした「勝つ」。そこには前回越えることができなかった壁を撃破するという意味も込められている。「自分たちのベストを尽くして、世界のベストチームに挑んで勝つ。(8強だった)前回のW杯をしっかり超えたい」。もちろん、イメージするのは勝利の美酒ならぬ、勝利のカフェイン。W杯で格別な一杯を飲むつもりだ。
▽日本代表とコーヒー リーグワンの試合日にキッチンカー「リーチマイケル コーヒースタンド」を出店しているリーチを筆頭にコーヒー好きが多い。ラテアートも人気で、稲垣や姫野はSNSでその腕前を度々披露している。昨秋の欧州遠征ではチームでエスプレッソマシンを持ち込んだほど。外国出身選手を中心とした「ジャパン・コーヒークラブ(JCC)」も結成され、リーチが名誉会長を務めている。
▽W杯日本代表の主将 過去9大会で7人が歴任。ポジション別では前回大会のリーチら5人がFWで、バックスは91年大会の平尾誠二、99年大会のアンドリュー・マコーミックの2人となっている。ラグビーは試合になれば主将の判断や裁量が他のスポーツと比較して大きく、レフェリーとのコミュニケーションも重要。15年大会の南アフリカ戦では、リーチ主将がジョーンズHCの指示を聞き入れずにペナルティーでスクラムを選択したことで、後半ロスタイムの劇的な逆転トライにつながった。
◇坂手 淳史(さかて・あつし)1993年(平5)6月21日生まれ、京都府出身の29歳。小学校までバレーボールに打ち込むも中学にバレーボール部がなく、ラグビーを始める。京都成章、帝京大を経て16年にパナソニック(現埼玉)入団。愛称は「さかちゃん」。試合前のルーティンはコーヒーを飲むこと。憧れのアスリートは白鵬で、好きなタレントは綾瀬はるか。日本代表通算33キャップ。1メートル80、104キロ。
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