3度宙舞った斉藤立「気迫」でトラウマ乗り越える 柔道全日本学生優勝大会
2023年06月25日 19:40
柔道
「本当にうれしいし、去年の借りを返せた。本当に地獄だった。天国からどん底に叩き落とされて、本当に1年間地獄で、申し訳ない気持ちがあった。本当にスッキリしたとしか言いようがない」
同じ顔合わせだった昨年度の決勝。本戦では1―1で決着が付かず、優勝のゆくえは代表戦に持ち込まれた。国士舘大の期待を一身に背負って畳に立った斉藤だが、コンディション不良もあり、70キロも軽い相手主将の村尾三四郎に延長戦の末に抑え込まれて一本負け。「試合自体がトラウマになるくらい追い詰められた」というほど、心に大きな傷を負う敗戦となった。
リベンジを果たし、トラウマを払拭するには、最終学年として迎える今大会で優勝を遂げるしかない。その決意があった一方で、5月の世界選手権では絶対王者ことテディ・リネール(フランス)に敗れるなどして7位。帰国後2週間は「引きこもった。本当に落ち込んだ」。体の状態は1年前よりも万全だった一方、心は乗り切れないまま、この日を迎えた。
「途中までは全然良くなかった」と振り返った通り、3回戦の桐蔭横浜大戦は、斉藤自身はよもやの引き分け。チームを引っ張るエースとして、決して責任を果たしたとは言えない結果だったが、試合を重ね、ようやく闘志に火が付いたという。「このまま俺は終わるのかなと思った。気迫を出さないと、今後の人生でも目指しているものにはなれないと思った」。
準決勝の天理大戦では、7人中6人目の副将として、胸のすくような内股で一本勝ち。迎えた決勝も副将に配置されると、1―0で迎えた試合では3分7秒、相手に3つめの指導を引き出し相手反則による一本勝ち。北京五輪100キロ超級金メダルの石井慧らを擁した07年以来、16年ぶりの栄冠をたぐり寄せると、ベンチでは感極まったような表情を浮かべ、仲間たちとハイタッチや抱擁を交わした。
代替わりした昨秋、竹市主将が吉永監督に提示したスローガンが「雪辱」だった。その提案を二つ返事で了承した指揮官も、「率直にうれしい」と喜んだ。斉藤が世界選手権から帰国後、20歳以上の団体戦代表メンバーに「酒を飲んで話してこい。一つになれよ」と促したという。斉藤は「楽しかっただけ。熱い話とかはない」と話したものの、「それだけでいい。そういうので(団結力が)高まっていくと思うので」と、チームを一つにまとめた一夜を振り返った。
父の故・仁さんが国士舘大在学中は手の届かなかった学生柔道界最大のタイトルを手にし、再び来年のパリ五輪代表選考レースに戦いの場を移す斉藤。「本当に今後の人生の財産になる大会だった。この経験を糧にして、さらなる飛躍をしたい」。一皮むけた姿で、まずは五輪切符をつかみ取る。
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