【世界陸上】91年ぶり「暁の超特急」に並ぶも…サニブラ 男子100メートル6位「めちゃくちゃ悔しい」

2023年08月22日 03:00

陸上

【世界陸上】91年ぶり「暁の超特急」に並ぶも…サニブラ 男子100メートル6位「めちゃくちゃ悔しい」
男子100メートル決勝、6位でゴールするサニブラウン・ハキーム(左から2人目)。右端は優勝したノア・ライルズ Photo By 共同
 【陸上 世界選手権第2日 ( 2023年8月20日    ハンガリー・ブタペスト )】 男子100メートル決勝で、サニブラウン・ハキーム(24=東レ)は10秒04をマークし、6位入賞を果たした。昨年の7位から1つ順位を上げ、日本勢過去最高成績。五輪を含めても、1932年ロサンゼルス五輪の「暁の超特急」こと吉岡隆徳に91年ぶりに並んだ。準決勝では自身4度目の9秒台となる9秒97を出し、同種目2度目の決勝進出は日本勢初の快挙となった。世界トップの常連の域に足を踏み入れ、来夏のパリ五輪へ大きく加速した。今大会は400メートルリレーにも出場を予定している。
 うずくまったサニブラウンは1分以上、立てなかった。世界の6番目に駆け抜けても、上には上がいる。「めちゃくちゃ悔しい。ダメダメだった」。電光掲示板で順位と記録を確認。ドナウの川風や熱気を帯びた大歓声を浴びると、その実感はさらに増した。

 2年連続の決勝舞台。「気持ちにかなり余裕を持って挑めた」というが、世界の表彰台との差は、号砲の瞬間から感じた。スタートの反応時間は8人中7番目。準決勝で見せた力強い伸びも欠いた。「(準決勝、決勝と)そろえてくる人たちがメダルを獲るし、勝つんだなと今年も再確認した」。世界トップの猛者たちに太刀打ちできなかった。

 分厚い壁にはじき返されたが、確かな成長の跡があった。準決勝はスタートから飛び出し、自己タイ記録の9秒97で1組2着の着順通過。タイムで拾われた前回とは違い「(進出確定まで待機する)ざんげ室に行かなくて良かった」と笑い「去年より1ステップ上がった」と手応えを口にする。

 ピーキングもあくまで世界舞台が基準だった。6月上旬の日本選手権では8位に沈んだ。スロースタートぶりに周囲は慌てたが、本人は「コーチを信じてしっかり練習していただけ」と言う。3カ所のヘルニアに苦しんだ東京五輪の後、ドイツ・ライプチヒの名医を訪ねた。専属の管理栄養士をつけ、ベッドを病院で使うような可動式に変更。今季に向けた冬季練習もみっちり消化できたことで、焦りはなかった。

 昨年のオレゴンで世界の頂上決戦を体感し、ブダペストでその常連へ格上げとなった。「(9秒)9前半、8は出る」と、日本記録9秒95の更新はあくまで通過点。可能性は無限に広がる。「メダルは手に届きそうなところに来ている。もうそろそろつかみたい」。夢の祭典まで、あと1年。24歳のスプリンターの物語は、花の都へと続く。

 ▽パリ五輪への道 マラソン、競歩を除くトラック&フィールド種目は既に有効期間に入った参加標準記録突破が第一条件。その上で(1)今大会3位以内の日本人最上位は代表に即決定(2)今大会8位以内の入賞者の日本人最上位は、24年1~6月の期間に参加標準を突破すれば内定(男女5000、1万メートルは23年11月から)。(1)(2)で該当者がいない場合は来年の日本選手権の結果を基に選考。サニブラウンは今大会で参加標準記録10秒00を突破。(2)のケースで来年1月以降にもう一度突破すれば内定となる。

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