【ラグビーレジェンド対談第4回】大八木淳史氏と山口良治氏(4)

2023年10月23日 09:44

ラグビー

【ラグビーレジェンド対談第4回】大八木淳史氏と山口良治氏(4)
山口良治さん(左)と大八木淳史さん Photo By スポニチ
 元ラグビー日本代表の大八木淳史氏(62)がゲストを招いてトークする「レジェンド対談」がスタートします。第一弾は大八木氏の恩師で、日本代表フランカーとしても活躍した元伏見工業高校監督の山口良治氏(80)です。あの伝説のテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の主人公、滝沢賢治のモデルにもなった“泣き虫先生”が、教え子の“暴れん坊”と語り合った。 【対談動画はこちらから
 第4回は「ワンフォーオール オールフォーワン 味方のために体を張れるのはラグビーだけ」(対談映像はYouTube「スポニチチャンネル」で配信中です)

 大八木 なかなかやりにくい時代ですもんね。

 山口 スクラムで背中をちゃんと張れと触った瞬間にカメラにパッと撮られたら体罰やしな。

 大八木 今、教員のバリバリやったらどうされます。

 山口 情けない、悔しいと思うな。今はもう知らんけどやけど。

 大八木 山口先生は役者なんよ。前から思うけどメディアが来たら、相手が喜ぶことを言うもんね。相手あっての自分はなかなかできないですよ。やっぱりアカデミー賞ですよ。

 山口 うまいこと言うな。

 大八木 前からずっと思っていたんですよ。相手が感銘を受けたり、批判されても納得する、みたいにね。やっぱりすごいなと思う。そこには、なんでそのようにできるようになったのか、いつも興味があった。

 山口 世の中にはたくさんスポーツあるけど、みんなそれぞれ素晴らしいけど。でも、自分がボールを落としたら、相手にとったらチャンスやし、しめたと思うやん。足でバーンッと蹴っていこうとするときに、味方がバーンとセービングしてくれるやん。そんなアホなスポーツって他にあるか。

 大八木 ラグビーに出会ったからそんな考えになったんですかね。

 山口 自分に関係ないミスをチームのためにバーンと体を張れるスポーツはラグビーだけやろ。スポーツの中で。他は失敗したら失敗だけ。

 大八木 だから、やっぱりプロ化になったらアカンねんね。論理的に説明できないスポーツやもんね。1980年代に海外遠征に行った時に「ノーサイドって何やねん」と言っていましたからね。英国人のキャプテンに「ワンフォーオール オールフォーワン」って知ってるかと聞いたら「フランスの名小説、三銃士の一小節やろ」と言われました。ラグビーはそんなこと言わないと。でも2015年から2019年で海外の選手が日本に来たときに、日本人のおもてなしなどで海外に「ノーサイド」とか逆輸入されている。みんな掃除するとか。先生もめちゃくちゃうるさかったですもんね。ロッカールーム掃除して帰らないとあかんとか、道のゴミを拾うとか。僕らの教育の中では当たり前なんやけど。1823年にできたラグビーのほんまにグレートブリテンという英国人の気質を、日本人だけがそのまま受け継いでいるんでしょうね。ぴったしはまったんでしょうな。
 よく言われるんですよ。高校時代、山口先生厳しかったから水とか飲ましてくれへんかったやろとね。いや、全然やで、お茶とか炊き出ししてくれてね。塩も置いてあって。伏見はスポーツドリンクのゲータレードもあったしね。
 三省堂で「世界のラグビーマガジン」を先生は取ってはりましたよね。三省堂からわざわざ英語バージョンのをね。伏見が最先端を行っていたんですよ。
 「スクール☆ウォーズ」も最先端の指導やったんですよ。

 山口 エンカウンターですよ。

 大八木 出会いですね。
     (続く)

  ◇山口 良治(やまぐち・よしはる)1943年(昭18)2月15日、福井県三方生まれの80歳。若狭農林高(現若狭東)から日大、日体大(編入)。1974年に伏見工(現京都工学院)に赴任。翌75年にラグビー部監督に就任し、1980年、92年と2度の日本一に導いた。現役時代のポジションはフランカー。キッカーとしても活躍。日本代表キャップは13。

 ◇大八木 淳史(おおやぎ・あつし)1961年(昭36)8月15日、京都市生まれの62歳。伏見工からラグビーを始め、同志社大―神戸製鋼。同志社大時代は大学選手権3連覇、神戸製鋼時代は日本選手権7連覇に貢献。現役時代のポジションはロック。日本代表キャップ30。

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