男子ゴルフ・久常涼 今季の目標は「五輪メダル」「シード獲得」米主戦の新星21歳
2024年01月09日 04:30
ゴルフ
「1年目で海外で勝てたのは自信になりました。正直びっくりしている部分も多いけど、でも、一年を通して海外で戦えたのは評価できる部分だと思う」
渋野日向子らを輩出した作陽高3年時にプロ転向し、21年に下部ツアー3勝を挙げてレギュラーツアーに参戦。日本ツアーでは未勝利ながら海外志向が強く23年に欧州を主戦場とすることを選んだ。
「川村(昌弘)さんがプレーされていて、いろんな国に行けるのが魅力的だなと。チャンスがあって、すぐに行けるなら行こうと」
9月にフランス・オープンで初優勝。日本人の欧州ツアー制覇は青木功、松山英樹に続く3人目の快挙だった。同ツアーで日本人初の新人王にも選出。21歳を強くしたものは?
「ごめんなさい、正直言ってあんまりなくて。慣れかな…」
そう率直に胸の内を明かすが、実績を重ねる日本のホープに、世界のトッププレーヤーたちも注目している。その一人がロリー・マキロイ(英国)。「Ryo」とファーストネームで呼ばれている。
「マキロイは僕が高校生の時、出場したアメリカの試合で開かれたジュニアクリニックに来てくれた。最終戦の最終日に一緒に回った時にそんな話もしました。ヨーロッパの選手もだいぶ認知してくれて居心地が良い。楽しくプレーできているなって」
欧州ツアーは中東、アフリカなど世界各地が舞台となる。久常は昨季単身で転戦し、チケットや宿の手配もほぼ自身で行った。
「乗り継ぎをミスって日をまたいだ移動もあったけど、なんとかなっています。一番食べたのはアジアンフード(笑い)。びっくりしたのが、イギリスでチキンカツカレーが国民食ってこと。日本のものと味は違ったけど印象的でした」
現在の世界ランクは日本勢2番手の74位。各国原則2枠の今夏のパリ五輪出場圏内にいる。くしくも五輪の舞台は優勝したフランス・オープンと同じル・ゴルフ・ナショナルなのだ。
「18年にユースオリンピックに出させてもらって、卓球の張本智和君だったり東京五輪でメダルを獲った選手たちも多くいた。ゴルフもオリンピックがあれば出たいなって思っていました。初めて優勝した思い出のコースでもあるし、本当に頑張りたいです」
そして目標だった米ツアー参戦。日本勢で出場資格を持つ選手は憧れのマスターズ覇者・松山と2人だけだ。
「同じフィールドで戦える試合もあるでしょうけど、やっぱり松山さんは特別な存在。憧れの人と一緒にゴルフができるのは凄く光栄なこと。憧れを捨てなきゃいけないっていうのは大谷翔平さんの話であったけど、でも、憧れは憧れのまま僕はやっていきます」
日本、欧州を経て新天地の米国での戦いが始まる。
「大きな目標は(米)PGAでシードを獲ることと、オリンピックでメダルを獲ることの2つ。まだリランキングもある立場なので、多分、どの試合も楽しむ余裕もなく必死にやっていると思います」
◇久常 涼(ひさつね・りょう)2002年(平14)9月9日生まれ、岡山県出身の21歳。3歳でゴルフを始める。岡山・作陽高3年時の20年12月にプロ転向。21年に下部ツアーで3勝し、レギュラーツアー出場権をつかむと出場7戦で賞金ランク50位に入ってシードを獲得。欧州ツアーQTを経て23年から参戦し、9月のフランス・オープンで初優勝。ポイントランク17位となり、上位10人(有資格者を除く)の枠で米ツアー出場資格を得た。好きなクラブは1Wで昨季平均飛距離は309.64ヤード。1メートル75、75キロ。