【ホノルルマラソン2023】ハワイで旅ラン!円安でも参加してよかった
2024年01月18日 09:00
現地時間2023年12月10日(日)に開催されたホノルルマラソン2023。
鳴りやまない打上げ花火が舞う中、42.195km先のフィニッシュに向け、世界各国老若男女のランナーたちが一斉にスタートし、ホノルルの観光ポイントをめぐるコースを駆け抜けました。
スタート時の花火が鳴り止みません。
ホノルルマラソン2023の日本人参加者数は昨年の2倍に!
ホノルルマラソン事務局のニュースリリースによると、2023年の大会は、フルマラソン&10Kラン&ウォーク合わせて29,836人がエントリーされたとのこと。
うち日本人は、昨年の2倍に迫る9,545人ものエントリー数になったようです。
トータルのエントリー者数は、昨年と比べて僅かに増えたのみにとどまったものの、日本人の“ホノルルマラソン熱”が再燃された大会と言えるのではないでしょうか。
前日のEXPO会場でも、多くのランナーの熱気が伝わってきます!
私の数ある“旅ラン”歴でも、ホノルルマラソンのフル部門は、今年初めての参加になります(2022年、10Kで参加)。
参加者全体は微増。しかしながら、日本人の参加者を2倍にも跳ね上がらせたホノルルマラソンの魅力を探るべく、私は、街で出会ったマラソン参加者にインタビューしてみました。
どんな人が参加していた?
ソロで参加のマッキーさん。ホノルルマラソンには初参加です。
マッキーさんはホノルルマラソン初チャレンジ! スタート前のインタビューの中も、花火や声援が鳴り止まず、思わずビックリすることも。
マッキーさんは日頃から体を使うお仕事をしていて、ミドルエイジと言われる年齢に差し掛かった頃、体力が続く今であるからこそ、達成すべき生涯イベントとして、フルマラソン@ハワイを目標の一つにしたようです。
目標とするマラソンを定めたからには、目標タイムに向けて、忙しい仕事の合間を縫ってランニングに勤しんできたとのこと。
また、ホノルルマラソン2023参加に向けて、国内でハーフマラソン&フルマラソンの大会に参加し、既に“足馴らし”済。
ただし、ハワイならではの暑い気温の中で長距離をランニングするには不安な様子でした。
というわけで、私も初のホノルルマラソン(フル)でしたが、ペースメイク役として、マッキーさんと一緒にコースを併走することにしました。
スタートは朝五時
当日のスタートは午前5:00。アラモアナ公園前のスタート地点では、どこからともなく音楽が鳴り響き、オープニングセレモニーが始まって既にお祭り騒ぎ。
陽気なムードに包まれているところに、号砲の花火が打ち上げられ、初ハワイランに臨むマッキーさんはじめ、ランナーが一斉飛び出していきました。
30,000人ものランナーが、一斉にスタート!
マッキーさんも、暗闇の中、無事にスタート。
初フルマラソン心構えとは
私がアドバイスしたのは、スタートの雰囲気に呑まれることなく、出たい気持ちをぐっと押さえて、周りのスピードに合わせていくようにしようというもの。
残り42.195km、花火を見たりクリスマスのイルミネーションを楽しんだりしながら走り出すくらいで良いというマインドセットを伝えました。
レースの序盤、スタートからアラモアナショッピングセンターまで、ダウンタウンの市街地を走るタイミングでは、まだ暗闇がホノルルの街を覆っています。真っ暗なゆえに映える景色も。
12月といえばクリスマス。沿道には、豪華に彩られたイルミネーションが目の前に広がり、ランナーにとっては恰好の撮影ポイント。足を止めて記念撮影にタイムを費やすランナーも多くいました。
マッキーさんも、写真を撮りながら、まだまだ表情に余裕が見られます。
スタート直後は暗闇ラン。イルミネーションスポットで写真を撮る余裕のマッキーさん。無事5kmを通過しました!
市街地を抜け、ワイキキビーチと並走するカラカウア通りを走る頃には、徐々にランナーもバラけだし、スタート直後よりも走りやすくなってきました。
走りやすいこのエリアでは、自身のペースを改めて確認する調整区間。マッキーさんも、自身の体力ロスと足の疲労度を確かめながら、ホノルルならではの気候でランニングする感触も徐々に掴んできた様子で前に進んでいきました。
併走しながらのインタビュー。マッキーさんは50歳になったことを境に、体力があるうちに、海外のメジャー大会の一つであるホノルルマラソンに参加し、目標タイムの4時間30分で走破しようという想いがあること、さらにホノルルマラソン終了後には、100kmレースにもチャレンジするという、どこまでもステージアップしたい意欲に満ちたアクティブな女性であることが分かりました。
沿道には、カラフルで思わずクスっとしてしまう微笑ましい応援ボードも。
ボランティアスタッフの声援は、ランナーにとってスポーツドリンク以上のエナジー補給に!
マッキーさんと一緒に、10km付近のカピオラニ公園まで軽快に走り続けていきました。
そろそろ足が重くなるころ
カピオラニ公園を通り過ぎると、1回目のダイヤモンドヘッドに差し掛かります。この地点に差し掛かると、何だか足が微妙に重くなるようなならないような。
それもそのはず、11kmから16kmまでの間は、標高差が約30mもある急な上り下りが続くエリアでした。マッキーさんも、「きゃぁー!さかぁー!のぼりぃー!」とちょっとしたインクラインでも苦手な様子で、スピードダウン。
左右にジグザク進むポイントでもあることから、先ずは、リズムを崩さないように足を進めること。
ここで速く走ったり遅く走ったりすると、レースの後半に体力ロスし疲れやすくなるので、セーブしてもOKとプラス思考のアドバイスをしました。
上り坂を何とか上りきるマッキーさん、この後、絶景の景色に出会います。
坂を克服したマッキーさんには、素晴らしいサンライズ&景色が待っていました!
私は坂道が“大好物”。足の踏み幅であるストライドを平地と変えず、腕振りならぬ肩振りでスピードを維持したいところでしたが、マッキーさんの体力ロスを最小限に防ぐため、一緒にダイヤモンドヘッド周辺の絶景ビューポイントの数々を写真に収めました。
マッキーさんにとっても、ちょうどサンライズのタイミングと重なったためか、ハーフ以降のエナジーチャージとなったようでした。
サンライズの日差しを浴びながら、ハイウェイに向かって足を運びます。
長い長いハイウェイランに突入
18km手前付近。ここからは、走りやすいが景色が変わらないハイウェイランが待っていました。
すでに、足に多少の違和感があったマッキーさんにとって、身体と心のこらえどころといったところでしょうか。
カラニアオレ・ハイウェイから折り返し地点までは、まずまずの道幅で走りやすいコースと言えそうで、自身のペースで走れそうなスポット。
小さな上り下りが続くハイウェイ、マッキーさんには辛くて長いハイウェイランに。
24~29km地点は運河を渡る橋なども見受けられ、小さな上り下りの連続で、足に疲労やストレスを感じるところ。マッキーさんは足を運ぶにも表情が辛そうでした。
速歩にチェンジしてもいいので、歩幅を維持しコツコツと一定のリズムで走ることをアドバイスしました。
またもや上り坂に
ハイウェイを逆方向に走るエリアになると、またまた、これも微妙に続くゆるい上り坂に。
ここは流石に大勢のランナーの足を筋肉痛が襲い、止まったりストレッチをしていたりするランナーが多かったように思います。
マッキーさんは、歩幅を維持しコツコツと一定のリズムで辛抱強くラン! 30km通過です!
残り10km!ローカルでも愛される揚げドーナツ「マラサダ」を食べて、脚力復活なるか
ゴールまであと少し!
長いハイウェイを走り終えると、ゴールまではあと僅か。ここで待ち受けているのが、2回目のダイヤモンドヘッド・ラン! これまた、上りが続きます。
上りの走り方としては、やはり、自身のリズムを守ってコンパクトに走ること。マッキーさんには、歯を食いしばって力むことなく、歩幅を小さく腕振りを一定にして、走らず速歩レベルに落としてでも確実に着実に足を運んでいくことをアドバイスしました。
最後の下り坂へ
いよいよ、ゴール手前の下り坂にさしかかります。
最後の下りでは、無理に重力に任せたスピードアップに気を付け、全身を使ってゴールを目指す、これまた最後のアドバイス。
二度目のダイヤモンドヘッド・ランを終えると、最後の下り坂。ゴールまでもう少し!
ホノルルマラソンのゴールは、歩くことなく、達成感を倍増させるためにも、マッキーさんは足を痛みと戦いながら、最後まで走り切り、初のホノルルマラソンをフィニッシュしました。
マッキーさん!無事にホノルルマラソン2023を完走しました!
私もマッキーさんのペーサーを無事に終えました
フルマラソンを走りきった感想は?
走った後の率直な感想を聞いたところ、お仕事との兼ね合いでのランは、全体的に練習不足であったことを痛感したとのこと。アンチエイジングな活動を続けるための課題も明確になったようでした。
途中、目の前に現れる素晴らしい景色の数々は、初めてのハワイ&ホノルルマラソンの色鮮やかな思い出になったとのことでした。
フルマラソンに必要な体力不足を謙虚に語っていたマッキーさんですが、ホノルルマラソンの疲労もどこへやら。何と、マラソン当日の夜、最終ランナーをお迎えするボランティア活動を行っただけでなく、翌朝は完走証を配布するスタッフを務めたそう。
滞在最終日は、ボランティアで同じグループになった皆さんと、バーベキューで初ハワイを締められたようです。
マッキーさん、タフ過ぎます! ホノルルマラソンのイベント自体をエンジョイされたようです。
ほかの日本人参加者もイベントを満喫していた様子
日本からの参加されたランナーの多くが、子育てやお仕事がひと段落つき、ライフプランニングのひとつとして「ハワイ」「ホノルルマラソン」というコンテンツを楽しんでいるように感じました。
レース前も、ホノルルの中心地であるカラカウア通りではミドルエイジなランナーグループがマラソン以外の話題で盛り上がっていたり、家族や同世代の友人達と買い物や食事を楽しんだりする様子も散見されました。
ホノルルには、ビーチや運河沿いに、ランニングスポットが多く点在します。
世界で一番ランナーに“優しい”と称されるホノルルマラソン
世界で一番ランナーに“優しい”といわれるホノルルマラソンの誕生は、さかのぼること50年前の1973年。立案者は、心臓病の専門医であるジャック・スキャッフ医師です。
スキャッフ医師が、心血管疾患を未然に防ぐには“長距離のゆるラン”がベストという医学的観点から、カピオラニ公園でランニングやコア・トレーニングを指導したことが、ホノルルマラソン誕生のきっかけと言われています。
公園での運動指導がきっかけとなり、カピオラニ公園をゴールにした市民ランニングイベントが、現在のホノルルマラソンの形となったようです。
タイムや順位を競うことより大切なこと
ホノルルマラソンは、タイムや順位を競うことよりも、健康であることの大切さや生活活動力の維持が、人生をよりハッピーにするという価値観です。
そのためゴールまでのタイムリミットを設けていないどころか、ゴール後はマラサダ(ハワイのローカルスイーツ)をほおばってOK! 揚げた生地の中にクリームやチョコレートがギッシリ、しかも粉砂糖までもたっぷりまぶされています。
全米4大マラソン大会としてハワイのアクティビティのひとつに成長
第1回は162人だった参加者が、現在では約3万人ものランナーが集う一大イベントに。
日本からは3分の1が参加する大会へと成長を遂げ、今では、ニューヨークシティーマラソン、ボストンマラソン、シカゴマラソンと並ぶ「全米4大マラソン大会」の一つになり、ランナーでなくとも誰もが知っているハワイのスポーツアクティビティとなっています。
円安でもランナーは海外ランを諦めない
今回で51回目を迎えたホノルルマラソン2023。
昨年の夏、日本政府観光局(JNTO)が公表している「出国日本人数」を見ると、海外旅行に申し込む日本人旅行者の数は94万人と前年の2.5倍以上にもなっているようで、長く続いたパンデミックを越えて海外旅行熱が高まっている様子です。
ホノルルマラソン2023参加に向けて、成田空港でチェックイン。出国する方で大混雑しているかと思いきや、思ったよりもスムーズなチェックインでした。
ところが、円安とインフレが相次いだことで、最近は海外旅行にかかる費用が高騰し、ホノルルマラソンに参加する意欲にも冷や水を浴びせてしまうことになった様子。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2019年は1ドル=110円前後で推移していましたが、今年の5月に第5類に移った頃には40円程度も下落しました。
ホノルルマラソンの手配方法からメスを入れる方もいて、大手旅行会社のパッケージツアーではなく、航空券もホテルも自分で手配している方も多かったです。
中には、円安傾向になることを嗅ぎつけ、円安を逆手に取って日本円を外貨に換えて、米ドルやユーロなど金利の高い通貨で運用する「円キャリートレード(円借り取引)を継続し、両通貨の金利差収入をゲット。ホノルルマラソンの旅費をプールしている方もいました。
大満足のハワイ“旅ラン”。円安とインフレ対策をしながら、また、ハワイに帰ろうと思います。
ホノルルマラソンに参加者の多くが、マラソンだけでなく、ハワイの自然や文化、ホスピタリティといったお金には代えられない体験、一種のOHANA(家族)愛を実感されたようでした。
プロフィール
内田英利(うちだ・ひでとし)
1971年生まれ。茨城県出身。日本大学卒業後、立命館大学に進学。立命館大学在学中に運動生理学などを学び、その後、米国の栄養学修士課程を経る。現在は、女性や高齢者向けの生活習慣病予防プログラムの開発、フィットネストレーナーの育成、生涯フィットネスに関する講演や運動指導などを行う。日本成人病予防協会認定講師。全米エクササイズ&スポーツトレーナーズ協会(NESTA)認定講師、アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリション (AHCN)栄養学修士、健康管理士一般指導員、健康運動指導士、京都造形芸術大学非常勤講師。大相撲の元貴乃花親方との共同開発プログラム「シコアサイズ」を販売。株式会社フィットネス・ゼロ代表取締役。シェアスタジオ「コア・フォレスト」運営責任者。フルマラソン歴22年。ベストタイムは2時間45分01 秒。
・公式YouTubeチャンネル
<Text & Photo:内田英利>
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