陸上女子800メートルでGPシリーズ3連勝の久保凜 飛躍は東大阪大敬愛高の野口監督にとって想定内
2024年05月29日 07:00
陸上
2人の出会いは久保が中学2年の頃。以前から存在を知っており、勧誘のために声をかけ、年度が変わってからは練習参加に来てもらった。東大阪大敬愛高に専用のトラックはなく、土のグラウンドだけ。250メートルのトラックは短距離の選手たちと併用していたこともあり、数年前に草が生えていた場所を野口監督が整地し、校舎敷地内のアスファルトと合わせて1周約600メートルのコースを作った。
環境面は従来の強豪校に劣るが、久保の父・建二郎さんからは「あり余る環境ではなく、工夫したり、そういうことも学ぶのが高校だと思います。こういう環境の方がいいです」と言葉をかけられた。サッカー日本代表の久保建英(レアル・ソシエダード)をいとこに持つ久保は、多くの高校から誘いがあった中で同校への進学を決意。通学のため、母らとともに地元の和歌山から大阪へと引っ越してきた。「伸びやかでダイナミックな走りができる」と才能を評する野口監督は、良さを引き出すために3年間、久保独自の練習メニューを組むことも約束した。
昨年8月の全国高校総体は1年で優勝。年末には久保本人に「来年、800でパリ五輪を目指そう」と語りかけた。久保が持つ自己ベストは2分3秒57。パリ五輪参加標準記録は1分59秒30で、杉森美保の持つ日本記録(2分0秒45)を上回るタイムとなっている。それでも「可能性があるから(目指そうと)言いました」と野口監督。6月末には日本選手権を控えており、16歳のチャレンジに注目が集まる。
◇野口 雅嗣(のぐち・まさつぐ)1968年(昭43)9月4日生まれ、奈良県出身の55歳。自身も陸上に打ち込み、日体大を卒業後に奈良の公立中学校で25年間にわたって体育教諭を務める。15年に、誘いのあった東大阪大敬愛高に赴任。昨年度は全国高校駅伝に初出場した。
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