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陸上女子800メートルでGPシリーズ3連勝の久保凜 飛躍は東大阪大敬愛高の野口監督にとって想定内

2024年05月29日 07:00

陸上

陸上女子800メートルでGPシリーズ3連勝の久保凜 飛躍は東大阪大敬愛高の野口監督にとって想定内
久保凜
 【オリンピアンロードの歩き方】五輪を目指すアスリートや関係者を取り上げるコラムの今回は、東大阪大敬愛高陸上部の駅伝(長距離)を束ねる野口雅嗣監督(55)。同校2年で女子800メートルの久保凜(16)は今季、シニアの選手と走るグランプリ(GP)シリーズで3連勝した。日本選手権制覇、そしてパリ五輪を目指す教え子の凄さなどを聞いた。
 野口監督にとって、久保の飛躍は想定内だった。昨年末の全国高校駅伝は虫垂炎の手術の影響で欠場し、今年1月の都道府県対抗女子駅伝は体調不良が明けたばかりで区間6位。だが、そこから冬季期間はしっかり走り込んできた。「(以前より)スピードが上がり、冬場に持久力も鍛えたので」。田中希実(ニューバランス)に競り勝った選抜中・長距離大会に始まり、静岡国際、そして5月の木南記念とGPシリーズで3連勝を飾った。

 2人の出会いは久保が中学2年の頃。以前から存在を知っており、勧誘のために声をかけ、年度が変わってからは練習参加に来てもらった。東大阪大敬愛高に専用のトラックはなく、土のグラウンドだけ。250メートルのトラックは短距離の選手たちと併用していたこともあり、数年前に草が生えていた場所を野口監督が整地し、校舎敷地内のアスファルトと合わせて1周約600メートルのコースを作った。

 環境面は従来の強豪校に劣るが、久保の父・建二郎さんからは「あり余る環境ではなく、工夫したり、そういうことも学ぶのが高校だと思います。こういう環境の方がいいです」と言葉をかけられた。サッカー日本代表の久保建英(レアル・ソシエダード)をいとこに持つ久保は、多くの高校から誘いがあった中で同校への進学を決意。通学のため、母らとともに地元の和歌山から大阪へと引っ越してきた。「伸びやかでダイナミックな走りができる」と才能を評する野口監督は、良さを引き出すために3年間、久保独自の練習メニューを組むことも約束した。

 昨年8月の全国高校総体は1年で優勝。年末には久保本人に「来年、800でパリ五輪を目指そう」と語りかけた。久保が持つ自己ベストは2分3秒57。パリ五輪参加標準記録は1分59秒30で、杉森美保の持つ日本記録(2分0秒45)を上回るタイムとなっている。それでも「可能性があるから(目指そうと)言いました」と野口監督。6月末には日本選手権を控えており、16歳のチャレンジに注目が集まる。

 ◇野口 雅嗣(のぐち・まさつぐ)1968年(昭43)9月4日生まれ、奈良県出身の55歳。自身も陸上に打ち込み、日体大を卒業後に奈良の公立中学校で25年間にわたって体育教諭を務める。15年に、誘いのあった東大阪大敬愛高に赴任。昨年度は全国高校駅伝に初出場した。

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