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【砂村光信・視点】2試合目で早くも成長した矢崎、根塚 若手抜てきを可能にした”エディーの遺産”

2024年06月30日 05:30

ラグビー

【砂村光信・視点】2試合目で早くも成長した矢崎、根塚 若手抜てきを可能にした”エディーの遺産”
<JAPAN XV・マオリオールブラックス>試合後、ジョーンズHCと握手を交わす矢崎(左)(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビー・リポビタンDチャレンジカップ2024   ジャパンXV 10-36 マオリ・オールブラックス ( 2024年6月29日    東京・秩父宮ラグビー場 )】 エディー・ジャパンで2戦続けて出場した選手たち、特にFB矢崎とWTB根塚が2試合目にして早くも成長しているのが分かった。22日のイングランド戦で刺激を受けて自信もつかんだのか、ボールをもらってから前へ出る推進力が素晴らしかった。矢崎は試合後の会見でエディーHCが成長をほめていたが、根塚もWTBらしく大外で取り切った最後のトライはもとより、WTBとは異なる位置へも飛び込んでいって積極的にボールを受け、アタックにリズムをつくっていた。
 この日は矢崎ら大学生4人、今春に明大を卒業したプロップ為房を含めると、22歳以下の選手が5人も出場した。学生からすれば、大学からリーグワンを飛び越え、一気に代表レベルの試合を経験できたことは大きな収穫。若さゆえにミスも出たものの、この年齢で多くの選手が世界トップクラスを体感することは今後の日本ラグビーにとって貴重な財産になる。

 若手の抜てきに定評があるエディーHCだが、初めて日本代表を率いた時は就任前の実績に敬意を払い、まずは以前からいる選手を集めて戦った。今回、最初から若手を使う手法に変えているのは、当時よりも高校や大学のレベルが格段に上がったからだ。当時から、日本は育成年代をもっと強化する必要があると訴えていたが、その後、高校では東福岡や桐蔭学園などが海外との差が顕著だった体力やフィジカル面を徹底的に強化。一方で、エディーHCが格闘家を日本代表の練習に招いたように、各校がラグビーとは異なる分野からも専門家を呼んで体幹やスピード面などを鍛えている。大学生が数多く代表に抜てきされるようになったのは、かつてエディーHCが日本に残した”遺産”がここに来て実を結び始めているからだろう。

 2試合続けて健闘が目立ったスクラムも、日本ラグビーの成長を裏づけている。今や大学生からリーグワンまで、どのチームもスクラムの重要性を意識して強化しているため、経験が浅い若手のFW第1列を国際試合に出してもスクラムが大きく崩れることがない。日本のスクラムは世界のベスト8に数えられるレベルに来ていると感じた。
(元U-23日本代表監督)

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