“不可解判定”に泣いた永山竜樹が意地の銅メダル!準々決勝で悪夢も「手ぶらで帰るわけにはいかない」
2024年07月28日 01:10
柔道
![“不可解判定”に泣いた永山竜樹が意地の銅メダル!準々決勝で悪夢も「手ぶらで帰るわけにはいかない」](/sports/news/2024/07/27/jpeg/20240728s10006000048000p_view.webp)
試合後には、時に言葉を詰まらせながらも涙は見せず「負けてから切り替えるのが大変だったんですけど、せっかく親とか、たくさんの方々が応援に来てくれていたので、手ぶらで帰るわけにはいかないと思って、銅メダルを獲りに行きました」と、ここまで応援してくれたコーチやファン、そしてライバルたちへの感謝の思いを胸に戦い切った。
準々決勝。まさかの展開で23年世界王者のフランシスコ・ガリゴス(スペイン)に一本負けを喫した。寝技に持ち込まれ、「待て」が掛かったものの、絞め落とされたと判断され、一本が宣告されたもの。この判定に本人は納得できず、約5分間も畳の上で滞留。古根川実コーチが審判団に抗議も、判定は覆らず、最後は諦めるように試合会場を去った。準々決勝までのセッション終了後には、金野潤強化委員長、鈴木桂治監督、古根川コーチが改めて審判団の元へ赴き、判定の経緯を問いただした。通常、「待て」が掛かった後に技の判定が下されることはなく、不可解なジャッジに納得できず。鈴木監督は「これが国際柔道連盟の柔道精神ですか」「待ての後も締め続けるのを許可したんですか」と抗議する場面もあった。
気持ちを切り替えるしかなかった。敗者復活戦では鬼気迫る柔道で世界ランキング1位の楊勇緯(26=台湾)を技ありで撃破。3位決定戦でも気力を振り絞って意地を見せた。
1年2カ月前、ほぼ諦めていたパリ五輪出場へ再び不退転の決意を固めた場所が、会場のシャンドマルス・アリーナの前だった。東海大で3学年上の先輩にあたる東京五輪王者・高藤直寿との代表争いは、22年下半期から23年上半期にかけて負けが込み、同年の世界選手権出場を逃した時点で万事休す。柔道を続けるのか。失意の永山に海外武者修行を促してくれたのが、幼少期から誰よりも熱心に後押ししてくれた父・修さんだった。
東京五輪代表を逃し、さ細なことから冷え込んでいた父子関係。長男・栄樹ちゃんの誕生でやっと雪解けを迎えると、23年4月の選抜体重別選手権で敗れた直後、「海外に1人で行ってきたらどうか」と提案された。妻・しおりさんも1カ月、家を空けることを快諾。行き先を欧州一の柔道大国フランスに定め、地元クラブなどを転々としながら稽古を積んだ。
迎えた5月7日。世界選手権で高藤がメダルを逃した。敵失とは言え、閉ざされる寸前だったパリへの道がつながった。観光名所を回るいつものランニングコースを少し逸れ、向かった先はシャン・ド・マルス・アリーナ。来年の夏、必ずここに戻ってくる――。そう決意を固めると、国際大会2連勝で迎えた12月のグランドスラム東京大会決勝、直接対決で高藤を破り優勝。翌日、悲願の五輪代表に内定した。
「先輩がいたからこそ、ここまで強くなれた。なかなか超えられない壁で苦しい時期も長かったが、今の自分になれたのは高藤先輩という存在がいたから」。選手としての土台を築いてくれた地元道場、そして修さんにも感謝の思いしかない。少し遠回りしたが、約束の場所に帰還し、小さな体をいっぱいに使って、永山竜樹の柔道を表現。悪夢の不可解判定をはね返し、思い描いた色ではなかったがメダルを手にした。
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