【阪神新人連載】村上 自信深めた高校3年間 2人の恩師が成長後押し

2020年12月22日 11:00

野球

【阪神新人連載】村上 自信深めた高校3年間 2人の恩師が成長後押し
16年、センバツ決勝でサヨナラ適時打を放ち、抱き合って喜ぶ智弁学園・村上(右)
 【牙を研ぐルーキー2020 5位・村上頌樹投手(下) 】 選択は間違っていなかった。頌樹は野球が高いレベルでやりたいと甲子園常連校の智弁学園(奈良)の門をたたいた。
 「当時から甲子園で投げたい思いが強かった。庄田さんが間を取り持ってくれて、智弁で成長させてもらいました」

 阪神OBで当時アイランドホークスでコーチを務めていた庄田隆弘氏(41=現・ヤング淡路監督)から智弁学園・小坂将商監督(43)に紹介されたのがきっかけだった。「おもしろい子がいますよ」。実力は群を抜いていたといい、練習を見に行った小坂監督も「制球も良くて、球がホップしていた。スピンも利いていた」とほれ込むほどだった。他の強豪校からも誘いが来ていたが、投手ではなく、打撃を買われて、野手での勧誘だった。

 もし野手で他の高校に行っていたら…。智弁学園に進学して正解だった。1年夏からベンチ入り。順風満帆だったが、2年秋に転機が訪れた。秋季近畿大会準々決勝の大阪桐蔭戦で先発したが9失点で敗戦。打たれ出したら止まらない“悪癖”が響き、我を忘れて不満は態度に表れた。試合後の取材では報道陣に向かって顔をしかめた。これには小坂監督も激怒。気持ちを改めるよう指導を受けた。当時はマウンドに上がると自分の世界に入り込んでしまい、調子が悪いと修正するのにも苦労した。

 立ちはだかる壁を越えるために、気持ちを入れ替え、周りを見て取り組むことを大切にした。試合でも積極的に声を掛け、まずは自分をコントロールすることを心がけた。改心は結果にも結びつき、3年春の選抜ではエースとして5試合、47回を一人で投げ抜いて初優勝に導いた。

 「ずっと日本一になりたいと思っていたので、うれしかった」

 心技体を鍛えられ、全国でも通用すると自信を深めた高校3年間だった。これも中学で指導を受けた庄田コーチ、小坂監督との出会いがなければ成し遂げられなかった野球人生。2人の恩師が成長を後押ししてくれた。 (長谷川 凡記)

 ◆村上 頌樹(むらかみ・しょうき)1998年(平10)6月25日生まれ、兵庫県南あわじ市出身の22歳。小1から賀集少年野球クラブで野球を始める。南淡中ではアイランドホークスに所属。智弁学園では1年夏からベンチ入りし甲子園に3度出場。3年春の選抜ではエースとして優勝。東洋大では1年春からリーグ戦に出場し通算12勝。1メートル74、75キロ。右投げ左打ち。

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