大阪ガス 逆境で示した「惟一心」武器に都市対抗へ 公家主将「優勝を目指します」

2022年07月12日 17:36

野球

大阪ガス 逆境で示した「惟一心」武器に都市対抗へ 公家主将「優勝を目指します」
大阪ガスの公家響主将 Photo By スポニチ
 第93回都市対抗野球大会が7月18日から12日間にわたって東京ドームで開催される。5年連続28度目の出場を決めた大阪ガスは近畿2次予選で苦しんだ経験を強みに変え、4年ぶり2度目となる優勝を目指す。
 「ここ数年は予選の本当の意味での怖さを知らないまま本戦へ出場できていましたが、負けたら終わりという2試合を勝ち抜けたことは良い勉強になった。実感として選手たちがよく踏ん張ってくれたと思います」

 前田孝介監督は修羅場をくぐり抜けた選手たちを称えた。第1代表決定トーナメント2回戦で日本製鉄広畑に敗れると、第3代表トーナメント2回戦でも日本生命に惜敗。半数以上の選手たちにとって、負けたら終わりという第5代表決定戦は初めての経験だった。歴戦の雄が集う過酷な近畿2次予選を、指揮官はこう振り返る。

 「5月23日に開幕してから代表を決めるまでの3週間は、ずっと胃が痛い。選手たちも同じ思いだったと思います」

 そんな逆境にあって、大きな役割を果たしたのが青栁匠、峰下智弘をはじめとする経験豊富な選手たちだった。「負けたことを引きずって、くよくよしても仕方ない」。戸惑いを見せる若手にハッパをかけるだけでなく、練習中も普段と変わらぬ毅然とした態度で白球と向き合った。フリー打撃では1球への集中度をより一層高め、ノックの送球が少しでもずれれば、すぐに修正を試みた。いつしか、勝って当たり前という重圧は消え、全員が一つになり、前を向けた。まず日本製鉄広畑を8―0で退けると、代表決定戦では日本生命に7―0で快勝。今季のチームスローガン「惟一心」を体現できたからこその全国切符だった。

 18年の都市対抗初優勝にはじまり、20、21年は日本選手権で2連覇。常勝軍団の名を欲しいままにしつつあるが、名門への土台づくりもすでにスタートしている。今季から入社2年目の公家響が主将に就任。異例の抜てき理由を、前田監督が明かす。

 「実績はありませんが、人間力、野球に取り組む姿勢が素晴らしい。2、3年後には誰もが公家主将をイメージできる。それなら、今年からでも良いのかなと。チーム全体に目を向けると、直近4年で、3度の日本一。ベテランは健在で中堅選手もレギュラーに食い込んできている。チームのバランスが良い今のうちに、スパイスを加えたかった。ベテランが衰えてから、チームを変えているようでは遅いですから」

 大役を任された公家は、生粋のリーダーとも言える。小、中学に続き、名門の横浜高、明大でも主将を務めてきた。グラウンドの立ち居振る舞いはもちろん、私生活でも隙を見せることはない。24歳の若さで、周囲から一目置かれる存在だ。

 「たくさんの良い経験をさせていただいています。当初は苦労したこともありましたが、副キャプテンの鳥飼さん、古川さんにも助言をいただき、そのたびに学ばせていただいています」

 公家は先輩への感謝を語ったが、要所では物怖じすることなく自らの考えを発信し全体の空気を引き締める。「年齢も様々ですので、言葉を選びながら伝えるようにしています」ということも、野球選手として成長する上で貴重な経験となるに違いない。

 2次予選は2試合の出場に終わったが、内野のレギュラーに食い込むべく地道な努力を重ねている。持ち味である打撃を磨く今季は、これまで肩の付近で構えていたトップの位置を胸元辺りに変更。投手とのタイミングが合わせやすくなったことで、JABA東北大会決勝・JR東日本東北戦では2本の適時打で3打点を挙げ優勝に貢献した。

 第5代表とはいえ、河野佳、秋山遼太郎を筆頭に投手陣は充実し、峰下、三井健右、清水聖也、古川昂樹らの打線も破壊力がある。狙うは4年ぶり2度目となる黒獅子旗。前田監督が「都市対抗では優勝することがチームの目標。何とか五つ勝ちきりたいと思います」と言えば、公家も「一人一人が決断力を持ったプレーをして、応援してださる方々に勇気と感動を届けたい。優勝を目指します」と続けた。思いは、一つしかない。

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