【新春対談 広島・新井監督×藤井ヘッドコーチ(3)】小園よ坂倉よ さらなる活躍で新しいカープ引っ張れ
2024年01月01日 05:45
野球
藤井 開幕の頃よりも、終盤の方がうまくなったと思います。でも、まだもっと考えることがある。その時、この打者を抑えるだけじゃない。自軍の投手スタッフの成績がどうやったら上がるか、やりくりを考える。ルーキーも入ってくる。彼も若くして試合に出て、ましてや捕手という、みんなに見られているポジションを担っているわけですから。今季以降につなげてほしいと思いますね。
新井 僕は、思っていた以上に速いスピードで成長していったな…と感じる。石原(慶幸バッテリー)コーチが頑張ったと思うし、ヘッドも捕手出身なんでね。もっと苦労すると思った。特に守備面はインサイドワークや投げる、捕る、止める…全て苦労すると。速いスピードで成長してくれているし、凄く頑張ったと思いますね。ただ、まだ専念して1年目(※8)。こちらが彼に期待しているものは、まだまだはるか上のところにあるので。
藤井 昨季よりも違うところに目配りできないとダメだと思うんですよ。(阪神の)近本、中野を抑えるだけでは物足りない。捕手だったら投手の性格をある程度は分かると思うけど、そこから膨らませて、こっちの方がいい…というものを考える。自軍の得点よりも少なく守る。そうなれば勝つ。打撃に影響があったと思うけど、その壁も乗り越えないと。(26年の第6回)WBCにも行って中心を担う選手になってもらわないと困るんでね。いろいろな視野を広げるスタートが昨季だったら、今季はもっと上にいける。
新井 うん。それぐらいの能力を持った選手だ…と期待しているんでね。彼は、打つ方も守る方ももっとできる。今季はもっと期待します。
――ではクローザー。昨季序盤は栗林が不振で、矢崎が代わりを務めた。競争ですか?
新井 栗林は3年目にして初めて壁にぶち当たった。昨季が一番苦労したと思うんですよ。でも、その試練を乗り越えた。今季はまたひと回り大きくなって、やってくれると思っています。現時点では、そこに関して競争だと思っていないです。抑えは特別な場所だと思っているので。
――勝ちパターンの人選はどうなりますか?
藤井 サイドハンドにトライしている投手が何人かいてます。セ・リーグは打順もあって難しい面がありますけど、ワンポイントを任せられる人材が出てくれたら面白いバリエーションになる…と。昨季は島内らブルペン陣が凄く頑張ってくれたから、この成績(2位)に表れたと思うんです。そこにプラスアルファ。抑えは栗林としても、競争して7、8回に良い人材が台頭してくれたら。昨季は大道が頑張って出てきたし、競争してほしいと思います。
新井 森浦や松本は昨季、凄く悔しいシーズンだったと思うんです。変わらず期待していますし、その悔しさを今季に生かしてほしい。ヘッドが言ったように大道が力を付けていますし、矢崎は栗林がいない間に抑えとして頑張ってくれた。もちろん、ザキ(中崎)も。新しい取り組みをしている投手が何人かいますし、より競争が激しくなるのかな…と感じますね。
――最後に先発。大瀬良が阪神とのCSファイナルステージで存在感を発揮(23年10月19日、7回3安打1失点、自責0)しました。右肘手術後ですが、起用はどうなりますか?
新井 現時点では何とも言いようがないです。大地がどういう経過なのか読めないし。ただ、無理はさせたくない。3回目(※9)の手術ですから。果たして中6日で回せるのか。本人は絶対、いくと思うんです。そこは考えてあげないといけないのかな…と思いますね。
藤井 手術明けだからね。一昨年、阪神ベンチからはガリガリだな、えらい細いな…と見えていたんです。その年の秋に話を聞くと「(体重を)7キロ落としていました。来季は戻します」と。実際、(昨年の)春先は真っすぐが強かったけど、シーズン通しては成績が伴わなかった。本当に苦しかったと思うんです。勝てなくて申し訳ない…という気持ちもあったでしょうし、不安の中で投げていたと思うんです。でも、CSの最終登板を見たら、やっぱりな…と。やっぱり、まだまだ大瀬良だっていう。感動しました。僕は彼との付き合いが長くないけど、もう一回やってくれるんじゃないか…と思っています。
――不調でも、マウンドに臨む姿勢は首尾一貫していました。
新井 もちろん。その年に一番勝った投手が必ずしもエースじゃない。僕はそう思っています。周りの投手にどんな影響力を持っているか。練習への取り組み方や、野球に対する姿勢も含めて、みんな大地が模範になっていますから。グラウンド外も込み込みでエースだと思うんですよ。昨季は体に痛みがあったと思いますが、それでも彼は弱いところを見せず、周りのことを考えてやってくれた。だから、エースなんです。今季も変わらず期待しています。
(※8)初めて規定打席に到達した21年は捕手、一塁ともに62試合の出場。全試合出場の22年は三塁が主で、捕手出場は22試合にとどまった。
(※9)1度目は中学3年時。2度目は20年9月に右肘関節鏡視下遊離体摘出・骨棘(こっきょく)・滑膜切除の手術を受けた。23年10月にも右肘滑膜切除の手術。
※この稿終わり
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