【新春対談 広島・新井監督×藤井ヘッドコーチ(1)】昨年以上に「ワクワクさせる」打倒・阪神でいざ頂点

2024年01月01日 05:45

野球

【新春対談 広島・新井監督×藤井ヘッドコーチ(1)】昨年以上に「ワクワクさせる」打倒・阪神でいざ頂点
今季の飛躍を誓う広島・新井監督(左)と藤井ヘッドコーチ(撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 それがどんなに難しいことか。戦力分析すれば想像がつく。戦前の低評価を覆し、5年ぶりのAクラスとなるリーグ2位に躍進した昨季の広島。新任だった新井貴浩監督(46)と藤井彰人ヘッドコーチ(47)の手腕がキラリと光る。王者・阪神を倒し、リーグ制覇と日本一を目指す24年元日。野球観を共有する同学年の首脳が、再び世評を覆すための秘策や戦力の起用法などについて語り合った。(取材・構成 江尾 卓也)
 ――昨季は下馬評を覆す2位。要因は?

 新井監督(以下、新井) まずは選手がよく頑張ってくれたと思うんですよ。それに藤井ヘッドをはじめ、スタッフも本当によくやってくれた。1軍だけじゃないんです。ヘッドと2軍の高(信二)監督が綿密に連絡を取ってくれるので、ファームの選手の状態が把握できる。選手と1、2軍スタッフ全員で戦えたからだと思いますね。

 藤井ヘッド(以下、藤井) 選手が、新井監督を胴上げしようと思っていたからじゃないですかね。どれだけ監督の言葉に救われたか。選手ミーティングに出ていたから(選手たちの生の)声が聞こえるんです。響いていたと思いますね。

 ――我々は戦いながら強くなる…という言葉が印象に残ります。

 藤井 プラスアルファを選手が出してくれたと思います。でも、まだ能力の半分。もっと考えて行動したら、試合でのパフォーマンスが良くなる。もっといけるんじゃないか。

 新井 そうだね。下馬評は軒並み低くて5位か6位。選手は“なにくそ!”と思っていたはず。でも、開幕日(23年3月31日)のミーティングで「おまえたちの力はこんなもんじゃない」と伝えたし、これくらいは絶対にできると思っていた。シーズンは長いので、ベテランや中堅、若手がかみ合わないと、うまくいかない。そこは凄く意識していたよね。

 藤井 阪神時代は、淡々とやっているチームだな…と見ていたけど、入ってみたら全然違って熱い。野間しかり、堂林しかり。全部が逆だった。それに、みんな素直。だから僕はやりやすかった。

 ――コミュニケーションを大事にされた。

 新井 やりとりは密にしています。ただ凄い量になるんですよ。特にヘッドコーチは仕事が多いので、任せているというかね。ヘッドなら“こう言う”というのが分かるので、僕は凄く楽。安心して任せていました。

 ――ヘッドコーチは初めてのポストでした。

 藤井 むちゃくちゃビビッて入って来ましたけど、そもそも弱いと思っていなかったんでね。(西川)龍馬が去年2月1日に発した「いっちょう、やったろうや」という言葉が忘れられないというか。もちろん、反省はありますよ。こうやっておけば…というのをなくせるように。新しい発想もあるし、スタッフ全員で監督の力になれたら…と思いますね。

 ――昨季の2位は評価する声が多数です。24年はどんな年に?

 藤井 そういう声は聞くけど、誰も2位を喜んでいないと思うんです。クライマックスシリーズ(CS)(※1)で悔し涙を流す選手を見たら凄く期待が持てるし、もう(今季へ向けて)スタートを切っているんでね。もう一つ上のトップしかない。簡単ではないけど、チャレンジをして壁を乗り越えたら、達成感は凄いと思うのでワクワクしています。

 新井 同じです(笑い)。龍馬が移籍(※2)したことで新しい競争が生まれますし、楽しみしかない。自分たちが楽しみを感じているということは、見ている人も楽しみなんじゃないかと思うんですよ。優勝して日本一は当然。強いタイガースを倒す姿を楽しみにしていただきたいし、昨年以上にワクワクさせたいな…と思っています。

 (2)へ続く。

 (※1)リーグ優勝した阪神とのファイナルステージは1―4、1―2、2―4の3連敗で敗退。

 (※2)11月14日に国内FA権を行使し、パ・リーグ球団への移籍を希望。同22日にオリックスが契約合意を発表。

 ◇新井 貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日生まれ、広島県出身の46歳。広島工から駒大を経て98年ドラフト6位で広島入り。08年にFAで阪神へ移籍し15年から広島に復帰。リーグ3連覇を果たした18年限りで引退。05年本塁打王、11年打点王、16年セ・リーグMVP。08年12月から12年12月まで労組日本プロ野球選手会の第7代会長。23年から広島監督。右投げ右打ち。

 ◇藤井 彰人(ふじい・あきひと)1976年(昭51)6月18日生まれ、大阪府出身の47歳。近大付から近大を経て98年ドラフト2位で近鉄入り。04年オフに分配ドラフトで楽天へ移籍し正捕手に定着。11年にFAで阪神へ移籍し15年限りで引退。通算成績は1073試合で打率.236、10本塁打、173打点。引退後は独立リーグの福井、阪神でコーチを歴任し、23年から広島1軍ヘッドコーチ。右投げ右打ち。

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