【新春対談 広島・新井監督×藤井ヘッドコーチ(2)】チームは成長中。阪神とがっぷり四つに組めるように

2024年01月01日 05:45

野球

【新春対談 広島・新井監督×藤井ヘッドコーチ(2)】チームは成長中。阪神とがっぷり四つに組めるように
今季のチームについて熱く語る広島・新井監督(右)と藤井ヘッドコーチ(撮影・奥 調) Photo By スポニチ
 (1)から続く。
 ――22年まで指導(※3)した阪神の選手が大活躍した。藤井ヘッドにはうれしくもあり…。

 藤井 複雑だったですね。苦労をしてきた選手を見ているので、グラウンドで輝く姿を見るとうれしい。でも、悔しい気持ちの方が大きいです(苦笑い)。

 ――阪神とは11・5ゲーム差。その差はどこにあった…と。

 新井 監督の采配面を含めて、昨季の時点ではまだ少し(熟成度で)差があったかな…と。向こう(阪神)の打線は固定ですよね。リーグ3連覇(※4)の時のカープがそうだったように、固定できるチームは安定した戦いができる。我々は戦いながら強くなると言っていますけど、監督を含め、カープは成長過程にあると思うんです。チーム力を上げて、(阪神と)がっぷり四つに組めるようにしていかないといけない。

 藤井 大竹、村上(※5)…同じ投手にやられ、同じ打者に打たれる。負けのパターンが一緒というか。好投手だし、打ちにくいのも承知しているけど、打開しないと未来はない。

 ――どう打開する?

 藤井 割り切りが一番なのかな。防御率1点台。全部の球を打とうとしたら、なかなか打てない。足を使うと言っても、その前にランナーが出ない。四球も出さない。じゃあ、どういうふうに攻略するか。見逃し三振でもいいから、こういこう…と明確に、選手に分かりやすく伝えて。そうすると相手も考える。こっち側から仕掛けていかないと、攻略は難しいのかな…と。

 新井 藤井ヘッドが言ったように、阪神の投手は制球がいいので四球を狙っても取れない。で、どうするとなったら、いくしかないよね。この球が来たらしょうがない、見逃し三振でもOKだから…っていうふうなアプローチに、変えないといけないのかな。もっと言うと、打てなくてもいいので自信を持って打席に立たせられればな…と考えています。だって、鬼門といわれる交流戦を勝率5割(※6)で踏ん張ったじゃないですか。しかも、ほぼほぼ(相手は)表ローテの投手が来ているんですよ。

 藤井 僕は正直、交流戦がそんなに苦手とは知らなかった。で、相談して、監督が「むちゃくちゃいけ。初球から思い切り攻めていけ」と。5割で喜んでいる場合ではないけど、一定の成果はあったのかな…と。監督の言葉が選手に響いて行動してくれたと思いますね。

 新井 その時のアプローチが“どんどんいけ”。交流戦(の先発投手)なんて、次に対戦するとしても日本シリーズ。まずは(球を)見ていきます。1ストライクです。アッ、ヤバい。追い込まれたくない。ボール球を振って2ストライクです…ってなるので、ガンガンいけと。少々ボール球を振ってもいいから…というふうにした。

 藤井 結果が出て初めて正解。そういうスポーツですからね。

 新井 それと、昨季にいなかった選手がどれだけ(戦力として)出てくるか…がポイントだと思う。龍馬が移籍したことで競争が激しくなるし、新たに外国人選手(※7)が入ったら、そこでまた雰囲気が変わるかな…というのもある。誰か出てこいや!という感じやね。

 ――西川の穴埋めに、今季は新戦力の台頭が例年以上に求められます。候補は田村、中村貴、末包らと多士済々。

 藤井 いま挙がった選手はもちろん、堂林や上本らも含め、競争になる人材はたくさんいます。新外国人選手もそうだし、ポジションは変わるけど、林や二俣もそう。そこで固定できるんだったらベストですけど。春に出てくる選手に期待したいと思いますね。

 新井 今季はベテラン選手らのフィジカルや体調をより細かくマネジメントしていこうと思っています。(昨季は)正念場の8月、いくゾ…という時に、あれだけ多くのケガ人が出た。それについては反省があります。自分では(離脱者を出さないように)結構考えてやっていたつもりですが、結果的にそうならなかった。なので今季はフィジカル面、コンディション面のマネジメントをより意識してやりたい。そこで代わりに出場する選手、たくさんの名前が(候補に)挙がってくれよ…と思いますね。

 ――若手には試合出場のチャンスが増える。

 新井 昨季よりは、そうなるだろうと思いますよ。(対象選手を)積極的に休ませて、体調を整えてあげないといけない…と思っているので、若手からすれば試合に出場するチャンスが出てくる。そこにたくさん、名前があってほしい。

 ――新外国人のレイノルズ、シャイナーも競争の候補に挙がりました。彼らの印象は?

 藤井 打つ方は2人ともオーソドックスというか、あまりクセがないのかな…と。日本向きと言いますか、日本人選手っぽい外国人選手という感じ。両方とも、広角に打てます。

 新井 レイノルズはアベレージ(ヒッター)系かな。内野はどこでも守れるということで、ユーティリティー性が高い。こっちの勝手なイメージですよ。シャイナーの方は中距離(ヒッター)なのかな。逆方向にもホームランが打てるし、楽しみ。でも、実際にこの目で実戦を、それも対外試合を見てみないと何とも言えない。打つ方を期待して獲っていますが、まずはしっかり守れるか…というところを見たいと思います。

 ――小園はどう見ていますか?昨季序盤に2軍を経験しながら、秋には侍ジャパンで活躍した。二、三塁を守ることもありましたが、今季の起用法は?

 新井 あそこまで打てる遊撃手はなかなかいないと思うんです。持っているものが凄いし、この先のカープを考えたら、中心になってもらわないといけない。(昨季は)オープン戦、開幕と打撃に苦しんでいたし、そういう考えがあったので藤井ヘッドと相談し、ファームへ行かせました。調整ではなく、良くなったら上げよう…でもなく、野球で広い視野が持てるように、全体を見てプレーができるように。そういう期待を込めて長く(約2カ月半)ファームに置きましたけど、帰って来た彼の姿は変わっていたんですよね。マウンドに行く機会が増えたし、所作を見てもいろいろ変わった。凄く良かった…と思っています。(ベストメンバーで構成される)侍ジャパンに入ってもレギュラーになるんじゃないか…というぐらいの活躍だったので、基本はショート。矢野らも頑張っている…というのはありますけどね。

 藤井 あの年齢でショートを守り、打撃も凄くいい。向こう10年は大丈夫だな…と、敵から見ていて思っていたんですよ。彼にはいろんなことを注文し、キツく言ったりもしました。苦しい経験だったかもしれないけど、自分で引っ張っていかなアカンやろ…という気持ちが、昨季終盤にはゼロ(0)からイチ(1)になったんじゃないかな。

 新井 小園は幼い頃からスーパースターで育ち、野球のことも、それ以外のことも、あまり言われたことがないと思う。プロに入るまで持って生まれた素質だけでやってきた選手なので、本人が分かっていないだけ。でも凄く素直なところがあるので、説明したら、ちゃんとやる。だから僕もヘッドも、他のコーチも逐一言う。若くしてショートを任されている期待値と重要性を、本人自身が理解していなかったと思う。

 藤井 これから謙虚に積み上げていってほしいな…と思うね。話をしたら分かる選手なんで。ちゃんと伝えてあげたら、ちゃんと返してくる。ただ、タイプ的には指摘されないと、アカンことなんだと気付かない。ダメだと思っていないので。

 ――なるほど。

 新井 (昨季の)オープン戦や開幕直後がそうですけど、打った、打たないで凄く(気分が)左右される選手だったんです。他の選手にも大なり小なりあるけど、打てなかったら守備でも落ち込んでしまう。それが、ファームから帰って来たら、凄く少なくなっていた。ショートというポジション、そこを任される責任、自分にかけられる期待…それらを初めて分かったんじゃないかな。藤井ヘッドをはじめ、みんなが事細かく言うので。

 藤井 話をすれば解決する。あの性格は言ってもムダとか、これは言わんでも分かるだろう…というのはなしにして。それは、選手を指導せずに放置しているのと同じだから。

 新井 そうだね。監督、コーチには選手を指導し、育てていく責任があるからね。

 (3)へ続く。

 (※3)16年は阪神からの出向扱いでBC・福井のバッテリーコーチ。17年は2軍育成コーチ、18年は同バッテリーコーチ、19~22年は1軍バッテリーコーチを務めた。

 (※4)16~18年に球団初のリーグ3連覇。1番・田中広と2番・菊池が好機をつくり、中軸の新井、丸、鈴木誠、松山が還す打線が機能した。16年は新井がリーグMVP獲得。

 (※5)昨季広島戦は阪神・大竹が7試合6勝0敗、防御率0・57。村上が3試合2勝1敗、防御率2・53。

 (※6)昨季は9勝9敗で7位。開催のなかった20年を除き、19年から3季連続で勝率2割台で最下位と苦戦。

 (※7)新たに投手のハーンとハッチ、野手のレイノルズとシャイナーを獲得。5年目を迎えるコルニエルを含めた5人態勢で臨む。

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