日本球界での実績は同等も、明暗分かれた契約内容 “食える投手”上沢の「革命」に注目

2024年01月31日 08:00

野球

日本球界での実績は同等も、明暗分かれた契約内容 “食える投手”上沢の「革命」に注目
レイズへの移籍会見を行う上沢(撮影・高橋 茂夫) Photo By スポニチ
 8年間で165試合に登板して64勝50敗、 防御率3・18。
 12年間で173試合に登板して70勝62敗、防御率3・19。

 非常に似通った成績。今オフ、ともにポスティングシステムで大リーグに移籍して日本投手2人のものだ。大卒の今永昇太投手は8年、高卒で入団した上沢直之投手は4年長く12年プレーしているが、試合数や勝利数、防御率など、ほぼ同じといっていい。

 おまけに同学年の2人。しかし球団と結んだ契約内容には大きな差がある。今永はカブスと5年総額8000万ドル(約117億6000万円)。1年目は年俸900万ドル(約13億2300万円)だ。一方の上沢はレイズとマイナー契約で今季年俸は22万5000ドル(約3308万円)。メジャー昇格すれば年俸250万ドル(約3億6750万円)となるが、その差は大きい。

 NPBでの成績はそれほど変わらないのに、なぜこれほど契約に差が出たのか。

 一つは今永が左腕という点。以前ほど「左打者は左投手が苦手」という傾向は大リーグでも減ったが、それでもやはり左腕は貴重。通算の奪三振率9・16という数字も評価されたはずだ。加えて今永は日本代表の経験が豊富で、昨年3月のWBCでは米国との決勝に先発した。米球団のスカウトらにアピールする機会も多く、今オフの移籍市場で同じ侍戦士の大谷翔平、山本由伸らに連なる形で扱われた点も大きかった。

 対する上沢は確かに米球界では無名だったかもしれない。ただ、新天地でマイナー契約から大きく飛躍する可能性を秘める。何より「イニングを食える」点が大きい。日本ハムでは過去3年連続で150投球回をクリア。昨季はパ・リーグ最多の170回だった。大リーグは162試合の長丁場。先発は少ない球数で1イニングでも多く投げる投手が重宝される。平均球速は140キロ台後半。大リーグでは決して速くはないが、変化球との緩急が使えるのも魅力の一つだ。

 本人は「革命を起こす」と宣言している。上沢の活躍次第では、後に続く同タイプの日本投手の評価も高まる。米国での「成り上がり」に大きく期待したい。(記者コラム 鈴木 勝巳)

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