データで見えたセンバツ新基準バットの影響 ホームラン半分以下に 盗塁犠打増え戦術細かく

2024年03月24日 05:00

野球

データで見えたセンバツ新基準バットの影響 ホームラン半分以下に 盗塁犠打増え戦術細かく
大会1号を放った豊川・モイセエフ(撮影・大城 有生希) Photo By スポニチ
 第96回選抜高校野球大会は23日、天候不良のため中止になり24日に順延。日程は1日ずつ繰り下がり、決勝は31日で休養日2日の変更はない。1回戦1試合を残し15試合を消化した時点で、重大事故防止を目的とした低反発の新基準の「飛ばない金属バット」による影響を振り返った。大会本塁打はここまでわずか2本となっている。
 細く、打球部の素材が厚くなった「飛ばない」新基準金属バット。15試合終了時点でも、その影響はデータで見て取ることができる。

 (1)データ&選手らの実感 反発係数が5~9%も減少。昨年選抜と比較し、はっきりと違いが出た。今大会は15試合で2本塁打、本塁打は7・5試合に1本ペースで、35試合で12本塁打だった昨年の2・9試合に1本の倍以上になった。全体の打率は・016減の・240、長打率も・029落ち・288。大会1号を右翼ポール際に運んだ豊川のモイセエフ・ニキータ(3年)は「芯で捉えた時は飛ぶけど、ちょっと詰まったりすると外野の頭も越えない」とした。中堅奥へ大飛球を放った田辺の山本陣世(3年)は「前のバットだったら多分入っていた」と首をひねった。

 (2)戦術の変化 長打が期待できない中で盗塁、犠打が増えた。昨年、1試合1チームあたり0・96個だった盗塁は、今大会1・27個。犠打は昨年の1・60が2・13まで増えた。京都国際の小牧憲継監督は「例年以上にバント、走塁は時間をかけてと選手に説明してきた」と証言。頭を越える打球が減り外野の前進守備も極端になり、走者二塁から単打で生還する確率が減った。昨年選抜での85安打中43度の51%が、今大会は31安打で13度の42%だ。関東第一、高知は走者三塁でヒットエンドラン、創志学園は2死一、三塁からセーフティーバントなど細かな野球へのシフトチェンジが顕著となっている。

 (3)今後の適応への期待 過去、バットの反発係数を抑えたり、ラッキーゾーン撤去などの改革に球児たちは対応してきた。視察した侍ジャパン・井端監督は「慣れてくれば対応できるんじゃないか」と期待。今後、芯で捉える技術の向上で打撃成績が上昇する可能性は高い。木製バットを使う大学、社会人、プロへ進んだ際もすんなりと順応できるだろう。今大会は青森山田の吉川勇大(3年)が木製バットで2安打。日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサーも「壁があればあるほど進化するもの。これからどう前に進めるかが大事」と期待している。(柳内 遼平)

 ≪事故防止が目的≫▽新基準金属バット 事故防止を目的に従来より細く、素材が厚い低反発のバットに今大会から完全移行。最大径は67ミリ未満から64ミリ未満と細くなり、打球部素材の厚さは約3ミリから約4ミリ以上となった。これにより、従来のバットより反発性能が5%から9%減少。打球部の厚さが増したことで剛性が高まり打球音も高くなる傾向にある。物価高もあり、価格は従来の2万5000~3万円から、約3万5000円に上昇している。

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