ドジャース・大谷 左肩亜脱臼も3連勝で王手 勝利呼ぶ2出塁「“痛くない”という気持ちでやっている」

2024年10月30日 01:30

野球

ドジャース・大谷 左肩亜脱臼も3連勝で王手 勝利呼ぶ2出塁「“痛くない”という気持ちでやっている」
<ヤンキース・ドジャース>初回、フリーマンの先制2ランで生還する大谷(撮影・沢田 明徳) Photo By スポニチ
 【ワールドシリーズ第3戦   ドジャース4ー2ヤンキース ( 2024年10月28日    ニューヨーク )】 ドジャースが28日(日本時間29日)、ヤンキースとのワールドシリーズ(WS、7回戦制)第3戦を4―2で制し、3連勝で4年ぶり8度目の制覇に王手をかけた。第2戦で左肩を亜脱臼した大谷翔平投手(30)は患部を保護しながら強行出場し、初回に四球を選んでフレディ・フリーマン内野手(35)の先制の決勝弾を呼んだ。メジャー7年目で初の世界一まであと1勝。死力を尽くす姿勢を示した。
 初回先頭で迎えた注目の打席。大谷は目いっぱいの力で素振りを14回繰り返してからバットを構えた。ユニホームの下の左肩はテーピングを施した状態。「いつもと違う感じはしたが、そこまで大きく違う感じはしなかった」。覚悟は固まっていた。

 先発オーダーにいるだけで威圧感が違う。ヤンキース・シュミットは気おされたように制球を乱し、ストライクが入らない。じっくり4球連続のボールを見極め、四球で一塁へ歩いた。走者としてリードを取る際には、左手でユニホームの胸元をつかんだ。患部に負担をかけないためだ。

 「試合の中ではもう痛い、痛くないというのは考えていない。“痛くない”という気持ちでやっている」

 スライディングや盗塁は、もちろん推奨されていない。とっさに地面に左手をつく動作をしないように、けん制での帰塁も立った姿勢を通した。1死後にフリーマンの右越え2ランで生還。全力疾走は必要なかった。大谷の健在が先制、そして3連勝を呼んだ。

 第2戦の7回、二盗を試みた時にスライディングで左手をついた際に左肩を「亜脱臼」。チームメート全員が入るメッセージグループに「僕は大丈夫だ。試合には出るつもりでいる」と送信した。世界一になるためにドジャースに加入。死力を尽くさない理由はなかった。

 体調管理の上で重要視する睡眠時は、医師の助言で「枕を(左脇に)挟んで固定」。睡眠時以外は逆に左肩を動かして固まらないように意識した。試合開始時点で気温11度まで冷え込んだヤンキースタジアム。観衆4万9368人が集結した敵地ファンから大ブーイングを浴びた試合前セレモニーや、打席に立つ時以外は左肩を温める装具を着けて、フル出場した。

 3回無死一塁では二ゴロで走者を二塁へ進め、ベッツの右前適時打につなげた。4回は空振り三振。以降はフォロースルーで左手を離して顔をしかめる場面もあった。3打数無安打でも2四死球で1得点。不屈の闘志でグラウンドに立ち、勝利に貢献した。

 「出られるなら出る準備をするのが当然。明日決められるに越したことはない。あと1勝できるように、まず集中したい」

 WSで初戦から3連勝は過去24度で、全て世界一。決して後ろは振り返らない。頂点まで、突っ走る。(柳原 直之)

 ≪「いつものように速かった」スイング≫大リーグ公式サイトの「スタットキャスト」メンバーのデービッド・アドラー氏が第3戦の大谷のスイングスピードを分析し「いつものように速かった」と強調した。左肩亜脱臼を負った状態でも、スイングスピードはシーズン平均76.3マイル(約123キロ)より0.6マイル(約1キロ)遅い75.7マイル(約122キロ)。メジャーでは75マイル(約121キロ)以上がエリートレベルとされ、大谷は5打席で計9スイングのうち6回も75マイル以上を計測した。同氏は「大谷のスイングの3分の2が75マイル以上だったという事実が最も重要な事実だと思う」と語った。(杉浦大介通信員)

 ▼ベースボール&スポーツクリニック・馬見塚尚孝理事長 肩の亜脱臼は動かさなければ痛みはなく、動かすと痛い。腕を横に振る打撃でも、縦に振る走塁でも同じ。左手で胸をつかんで走る動作は極力腕を体から離さず、動きを減らす対策として理にかなっている。「枕を挟んで固定」して寝ているという。我々は腕が上がらないようにTシャツに袖を通さないことも推奨している。3打席目以降に左手を離してバットを振っている様子や表情を見ると痛みはある。心配であることは第4戦でも変わらない。

 ≪過去24度≫ドジャースが無傷の3連勝。過去のWSで初戦から3連勝(引き分け含む)した24チームは全て世界一に輝いており、確率は100%。1910年アスレチックス、37年ヤンキース、70年オリオールズ以外の21チームは、第4戦白星で一気に4連勝してシリーズを制している。ポストシーズン全体でも7回戦制の3連勝から4連敗した例は、04年ア・リーグ優勝決定シリーズでヤ軍がレッドソックスに敗退した1度しかない。ド軍とヤ軍の過去11度のWSで4連勝決着は1度だけ。63年にド軍が4連勝で制し、2勝を挙げたコーファックスがMVPに選ばれた。

 ▼ドジャース・デーブ・ロバーツ監督(大谷が)試合の始めから打席に立ち、四球で出塁したことは素晴らしかった。出場してくれたことに感謝している。明日(第4戦)も出場する。(スライディングは)できたと思う。もちろん、注意しなければならないので、理想を言えば、やってほしくない。

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