DeNA26年ぶり日本一!番長涙の5度舞い 98年選手でV知る男が今度は監督で横浜に歓喜もたらした

2024年11月04日 05:30

野球

DeNA26年ぶり日本一!番長涙の5度舞い 98年選手でV知る男が今度は監督で横浜に歓喜もたらした
<D・ソ>26年ぶりの日本一に輝き、胴上げされる三浦監督(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【SMBC日本シリーズ2024第6戦   DeNA11―2ソフトバンク ( 2024年11月3日    横浜 )】 涙の制覇だ!「SMBC日本シリーズ2024」は3日、第6戦が行われ、DeNAが11―2でソフトバンクを下し、2連敗からの4連勝で98年以来26年ぶり3度目の日本一を達成。三浦大輔監督(50)はナインの手で5度宙を舞った。前回日本一の98年は主力投手で、その後は指導者でも低迷期を経験した指揮官による頂点。貯金2、勝率・507は日本一となった球団で最も低く、リーグ3位から「史上最大の成り上がり」を決めた。
 試合終了の瞬間、一気に感情があふれた。両手を突き上げ、コーチ陣と肩を組んで跳びはねる。涙は止まらない。目を赤くしたまま、リーグ3位から日本一を決めたナインの手に身を委ねた。5度の胴上げ。横浜の夜空が視線の先に広がる。優勝監督インタビューで万感の思いを語った。

 「最高にうれしい。98年に優勝してからなかなか勝てず、もう一度という気持ちだった。監督として優勝できてうれしいです」
 本拠地で2連敗後、敵地で3連勝を決めて戻った第6戦。打線が13安打で11点を奪って大勝した。貯金2で3位だったチームが、貯金42のパ・リーグ王者を撃破しての日本一。第5戦まで全てビジターが勝利した“外弁慶シリーズ”で、初の本拠地での勝利だ。この日は、前回日本一だった98年に横浜市内で優勝パレードが行われた記念日でもあった。

 「うちの監督は三浦大輔じゃないと務まらない」。ある球団関係者は断言する。立場は球団組織図の中では「課長職」。コーチ陣、スタッフをまとめる現場トップだが、組織には各部に部長もいるため、番長には上司がいることになり社内研修も受ける。シーズン中でも萩原龍大チーム統括本部長とは週に1度の面談。そして磨かれてきたマネジメント力が強く発揮され、チームに緊張感を生んだ場面があった。

 8月27日の阪神戦。7回に2番手で登板した助っ人右腕のウィックが乱調。1死も取れずに2点を失う内容に、交代を決断して一塁ベンチを出た。だが交代を命じられた右腕は顔を紅潮させて拒否するように首を振る。そこで「チェンジッ!」と一喝した。温厚な指揮官が珍しく激高。だが頭は冷静だった。ナインと接するときの「声量、対応力」も研修内容にある。このときは声量を大きくすることでチームを引き締めた。

 アフターケアも怠らなかった。後日、球団関係者から「米国人は人前で大声で怒鳴られることを、最大の侮辱行為と捉える」と伝えられると、すぐにウィックに謝罪。これも「トラブルを他責と考えず自責と考える」という球団指針に沿った、的確な判断だった。

 12人しか存在しないプロ野球の監督。プライドや意地を貫いて球団と衝突する指揮官も多いが、三浦監督は中間管理職を受け入れ、謙虚で向上心も旺盛だ。だからフロントとも一枚岩となり、球団内からも愛される。「一喝事件」以降は現場の一体感も増し、最後は広島とのCS争いを制して3位となり、日本一まで駆け上がった。

 前回日本一の98年は現役だった三浦監督。08年オフに2度目のFA権を取得した際は幼少期からファンだった阪神も獲得に名乗りを上げる中で「横浜が好き。強いところを倒して優勝したい」と残留を決断し、ファンを喜ばせた。現役時代も含め親会社もマルハ、TBS、DeNAと代わっていくなど低迷期もあったが、「史上最大の成り上がり」でファンに歓喜を届けた。

 「試合をするたびに選手は進化したし、中身の濃い期間を過ごせた」と三浦監督。歩みは止めない。DeNAを、もっと強くする。(大木 穂高)

 ▽98年の横浜ベイスターズ日本一 権藤博監督が就任。圧倒的な集中打で試合を支配する「マシンガン打線」、絶対的守護神の大魔神・佐々木主浩を擁して大洋時代の60年以来、38年ぶりのリーグ制覇。西武との日本シリーズは、2連勝→2連敗で五分となった第5戦を17―5と大勝。王手で迎えた第6戦は2―1と競り勝ち、球団2度目の日本一を達成。本拠地・横浜スタジアムで胴上げが行われ、シリーズMVPに打率.480、8打点の鈴木尚典が輝いた。

 ≪最少の貯金2、最低の勝率.507で日本一≫DeNAが大洋時代の60年、横浜時代の98年に次ぎ26年ぶり3度目の日本一に輝いた。DeNAはシーズン3位で、成績は71勝69敗3分け、貯金2で勝率.507。3位からの下克上Vは10年ロッテに次ぎ2チーム目で、セの球団では初。歴代日本一球団の中では、75年阪急の貯金5、シーズン勝率.520を下回る最少貯金かつ最低勝率になった。ソフトバンクは貯金42(91勝49敗3分け)。貯金差40を覆しての日本一は71年巨人(貯金18)が阪急(貯金41)を破った際の23差を上回る最大の格差逆転Vだ。

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