井岡一翔 2度目の2団体王座統一ならず…無念のドロー「申し訳ない」WBO王座は6度目防衛成功も

2022年12月31日 18:10

格闘技

井岡一翔 2度目の2団体王座統一ならず…無念のドロー「申し訳ない」WBO王座は6度目防衛成功も
<WBA・WBO世界スーパーフライ級王座統一戦 井岡対ジョシュア・フランコ> 引き分けでともに王座防衛となったフランコ(左)と井岡 (撮影・光山 貴大) Photo By スポニチ
 【プロボクシングWBO&WBA世界スーパーフライ級王座統一戦12回戦 ( 2022年12月31日    東京・大田区総合体育館 )】 WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(33=志成)が統一王者を逃した。WBA同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)との王座統一戦は、プロ32戦目で初の引き分け。WBO王座6度目の防衛に成功したが、WBA王座を奪うことはできず、12年にWBC&WBA統一王者となったミニマム級に続く2団体王座統一はならなかった。
 序盤から回転鋭いパンチを繰り出すフランコとカウンターをしっかり冷静に狙う井岡の戦いとなった。第6Rまで互いに譲らず。井岡は強打をかいくぐりながらボディーを狙った。9Rを過ぎると井岡のパンチがフランコを捉え始めた。しかし最後までフランコの圧力は衰えずフルラウンドの戦いとなった。

 判定は115(フランコ)―113、114―114、114―114でマジョリティードローとなった。WBO王座は6度目の防衛に成功も、試合後は「皆さんの期待に応えられず申し訳ないです」と語った。

 2本目のベルトは手にできず、1本を守るだけで精いっぱいだった。後に3階級制覇王者となる八重樫東(大橋)を激闘の末に退けたミニマム級の統一戦から、10年半ぶりの王者対決。怖いものなしで突き進んだ20代前半と違い、苦闘の末にたどりついた待望の決戦だったが、井岡は世界戦過去22戦の経験を生かしきれなかった。

 「望んでいた試合ができることを、とても幸せに感じる」。二年越しで実現した大みそかの統一戦だった。21年末に予定していた統一戦は、新型コロナウイルスの影響で当時のIBF王者アンカハス(フィリピン)が来日できなくなり中止。統一戦を見据えながら防衛を重ね、10月下旬のWBO総会(プエルトリコ)でフランコ戦が承認されると、そのまま3年ぶりの米ラスベガス合宿へ突入した。約2カ月間でベネズエラの五輪代表やメキシコ人の世界ランカーらと101ラウンドのスパーリングを消化。朝練では元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)らが走った山を駆け上がって下半身を鍛えた。好戦的なフランコを止めるディフェンスやカウンターなどの対策も陣営で練り上げた。

 7月のV5戦直後に第2子の次男・大空翔(たくと)くんが誕生したが、家族と離れてボクシングに没頭。「より少しでも質を上げたい」と余裕がなくなるほど自身を追い込んだ。12月25日には交流が深いJ1神戸の元日本代表DF槙野智章が引退表明。ここ数年は自身も常に引退を意識しており、「負けたら終わりの覚悟?あります」と答えていた。

 一時引退していた18年2月、米カリフォルニア州で行われたフアンフランシスコ・エストラーダ(メキシコ)の試合を見て、スーパーフライ級で現役復帰を決意。2度目の挑戦で4階級制覇を果たして以来、エストラーダ戦を熱望していた。エストラーダも「フライ級のときから井岡と戦いたかった」と話しており、この日はリングサイドで視察。井岡は勝てば標的との“頂上決戦”をアピールできたはずだった。フランコとの再戦や、WBOから指令が出ている前フライ級王者・中谷潤人(M・T)との指名試合など、今後の選択が注目される。

 ◇井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日生まれ、大阪府堺市出身の33歳。興国高で6冠を達成し、09年4月にプロデビュー。11年2月にWBC世界ミニマム級王座、12年12月にWBA世界ライトフライ級王座、15年4月にWBA世界フライ級王座を獲得。17年末に引退を発表したが、翌年9月に現役復帰し、19年6月に2度目の挑戦でWBO世界スーパーフライ級王座を獲得して日本人初の4階級制覇を達成。身長1メートル63・5、リーチ1メートル64・2の右ボクサーファイター。家族は恵美夫人と長男・磨永翔(まなと)くん(3)、7月に誕生した次男・大空翔(たくと)くん。

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