猪木さんの生きざま「人の喜びが自分の喜びになる」 弟・啓介さんが語る「素晴らしい兄貴」への思い

2022年12月31日 05:30

格闘技

猪木さんの生きざま「人の喜びが自分の喜びになる」 弟・啓介さんが語る「素晴らしい兄貴」への思い
生前のアントニオ猪木さん(左)と笑顔で写真に収まる弟の啓介さん Photo By スポニチ
 2022年秋、「燃える闘魂」が力尽きた。数々の名勝負、名文句で幅広い世代に愛された、元プロレスラーで参院議員も務めたアントニオ猪木(本名・猪木寛至)さんが10月1日、心不全のため79歳で死去した。5歳下の弟で告別式でも喪主を務めた猪木啓介さん(74)が「兄」の生きざまと最期をスポニチ本紙に語った。
 亡くなって初めて分かったことがあります。アントニオ猪木がいろんな人から夢を託され愛されていたんだとびっくりしています。

 今年の夏でした。しばらく連絡がなかった兄貴から電話があり、「(自分の面倒を)何とかしてくれよ」と言われました。急いで自宅近くにマンションを借りて、毎日兄貴の様子をうかがう生活が続きました。亡くなる前日、兄貴から呼び出され、部屋に入るとドアを閉めろと言われて…。何か言いたかったのでしょうか。口を動かしても言葉になっていなかったので、しっかりと聞き取れませんでした。そばに40分間いましたかね。そのまま寝てしまったので家に戻ったら、朝6時40分ごろにお世話をしている方から電話がかかって、飛んでいきました。突然すぎて、亡くなったと知った時の記憶はあまりありません。

 11人きょうだいの末っ子の私とは5歳差。一番近い男の兄弟とあって、一緒にいることも多かったです。私の中の猪木寛至は常に夢を追い、世の中のために何ができるかを第一に考えていました。牧場、水プラズマなどさまざまな事業。発電機も子供たちのために始めたものだったし、人質救出のためイランにも乗り込みました。「お前の喜びは何だ。人が喜ぶことが自分の喜びになる」の言葉が忘れられません。

 リングに上がれば勝てばいいでなく、みんなが喜んでくれることを優先していました。「組んだ瞬間、相手の実力は分かる。すぐにつぶせばおしまいだが、力を出させておいて、自分がそれをしのぐ強さを見せる。これがプロ」と言っていました。素晴らしい兄貴でした。

 本音を言えば、もう少し長生きしてもらいたかった。でも、常に救世主が現れて支えてくれたので、運のいい人生を過ごしたのではないでしょうか。(猪木 啓介)

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