武藤敬司の長女・愛莉さん手記 お前、普通に生きるのか――“人と違うこと”考え続けたパパ

2023年02月22日 05:00

格闘技

武藤敬司の長女・愛莉さん手記 お前、普通に生きるのか――“人と違うこと”考え続けたパパ
シンガーソングライター霧愛として活躍中の武藤愛莉さん(株式会社MUTO OFFICE提供) Photo By 提供写真
 【武藤敬司引退大会 ( 2023年2月21日    東京ドーム )】 多くのプロレスファンから惜しまれつつ引退した武藤敬司(60)は、史上最高のエンターテイナーとしてマットから多くの感動を発信した。幼少の頃からその姿を見続けてた長女の愛莉さん(22)が本紙に手記を寄稿。天才レスラーとして、父としての素顔をつづった。
 パパ、39年間のレスラー生活、お疲れさまでした。直前のケガで相当追い込まれていたようでしたが、無事に終えてホッとしています。

 人を喜ばせるために100%を出し切りたいのが父の性格なんです。リングに立った瞬間、アドレナリンが出過ぎてしまって、ムーンサルトをやろうとするんです。本当にドクターストップなので、「下半身なくなるよ」って家族で言ってました。かっこいい父でいてほしい思いと、もう十分だよという気持ちがぶつかっていましたね。

 最高の父親でした。プロレスラーの娘に生まれて22年間、プロレスは身近なものでした。生後3カ月には父のプロレスの仕事で半年間、家族で米国のアトランタで過ごし、子供の頃は会場で「パパ~」と大声で叫んで家族からひどく怒られたこともありました。その後は「むとお~~」に変わりましたけど。父が負けるたびに号泣する、大の武藤ファンでした。

 父は自分大好きで、家では他のレスラーのことは一切口にはしないけど「この技、かっこいいだろう」とか自慢げに話していました。自分の技が中途半端だった時は大変。常に反省会でしたが、自分自身に誇りを持っていた証だと思います。朝何時に起きるとか、食事は何を食べるかとか、トイレや寝る時間も全部決まっている。最高のエンターテイナーには最高の裏方がいると言いますが、試合の準備を含め、管理しているのが母でした。

 「お前、普通に生きるのか」。父によく言われた言葉です。エンターテインメントの世界に生きるものとして必要なことは何か。人と同じ発想ではなく常に違うことに挑戦するアンテナを、父は張っていました。どうやったらファンを楽しませられるか。例えば椅子が目の前にある。椅子は座るものだと思うのが当たり前ですが、この椅子を使って何ができるかを考えている人でした。

 私は一昨年からシンガー・ソングライターとして新たな道を歩んでいます。芸名は「霧愛(むぅあ)」。仮面を着けたこともあり、周囲から武藤&グレート・ムタみたいだね、とも言われてます。私のDNAの中には武藤敬司が入っているので、形は違えど「武藤イズム」を継承できればと思っています。自分に自信を持って、メークの勉強や書道など、幅広くトライしたい。私は武藤敬司の娘。その思いを心に響かせています。

 ◆武藤 愛莉(むとう・あいり)2000年(平12)4月3日生まれ、川崎市出身の22歳。生後まもなく父とベビーリングのCMポスターで共演。子役として活躍しデビュー作は07年の映画「全然大丈夫」。その後、アイドルグループ「マハリガールズ」のメンバーとして活動し、10年にCDデビュー。21年に音楽活動を始め、現在は「霧愛(むぅあ)」の芸名でシンガー・ソングライターとして活動中。書道師範や行動心理士の資格も持つ。家族は両親と兄。

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