中尾彬さん もがき続けた中でつかんだ当代一の悪役「こっちが主役だと思ってやっていた」
2024年05月23日 05:14
芸能
![中尾彬さん もがき続けた中でつかんだ当代一の悪役「こっちが主役だと思ってやっていた」](/entertainment/news/2024/05/22/jpeg/20240522s00041000204000p_view.webp)
61年に日活ニューフェイスに合格。当初から出演作には恵まれたが、チンピラ役が中心。「毎回、同じメンバーで駒を動かしているだけという気がして、芝居をちゃんと基礎から学ばなければいけない」と一念発起。63年に劇団民芸の研究生となった。
フリーとなった後は、テレビドラマにも活躍の場を広げていった。だが、30歳を過ぎたあたりから「役柄が限られている」と感じることが増え、殻を破ろうともがき続けた中でつかんだのが悪役だ。2時間ドラマの黎明(れいめい)期と重なり“裏のある顔”で存在感を高めていった。「人を殺したりだましたり、普段はできない行動ができるし、人間の裏表を演じることが面白いと分かった。悪役でも、こっちが主役だと思ってやっていた」と自らの糧とした。
70年代後半からは「白昼の死角」「極道の妻たち 最後の戦い」「激動の1750日」など東映アウトロー・やくざ路線の常連に。役作りに関しては脚本を読み込み、衣装合わせなどの初期段階から監督らと綿密に話し合って自身の体に取り込むことに徹底していた。「撮影中は普段の口調まで変わる。それだけの覚悟があったんだと思う」と振り返っている。メークの入れ墨を落とさずに帰宅して、池波が顔つきの違いに驚いたこともあったという。
「ゴジラ」シリーズでは司令長官や首相役だったが「ゴジラにとっては(人間は)敵だからね」と“悪役”への矜持(きょうじ)を示した。年を重ねるごとに風格も増し、自身の個性を最大限に生かして威風堂々を体現し続けた役者人生だった。