近藤「崩し」生かし切れず立ち技不発 高藤は安全策という選択肢も
2016年08月08日 09:10
五輪
![近藤「崩し」生かし切れず立ち技不発 高藤は安全策という選択肢も](/sports/news/2016/08/08/jpeg/G20160808013120330_view.jpg)
ただし、抜群の破壊力を持つ立ち技が不発だった原因は分析し、反省材料としなければいけない。柔道の投げ技は「崩し(相手を動かす)」「つくり(技に入る間合いをつくる)」「掛け」の3局面からなるが、この日の近藤は一発を狙うあまり、「崩し」が生かし切れていなかったように感じた。こうなると、組み手でいいところを持てなければ破壊力が落ちる。ライバルたちはそれを研究して、近藤の組み手を封じたり、組まれそうになれば掛け逃げしてでも流れを切ろうとしていた。
まだ21歳。伸びしろはある。次のステップとして(1)直線的な動きだけでなく、左右を含めてさまざまな方向に相手を動かす(2)一発の技にこだわらず、連続技でチャンスをつくる、といった工夫ができれば柔道の幅が広がり、世界の頂点に近づくと思う。
一方、男子60キロ級の高藤はもったいない敗戦だった。投げられたのは、相手が間合いを詰めて接近戦を仕掛けてきたところ。普通の日本選手なら距離を取ろうとするが、高藤は反射神経に自信があるだけでなく、接近戦も強いため付き合ってしまった。「過信」と言うと厳しいかもしれないが、ミスが許されない舞台。安全策という選択肢はあっても良かった。
それでも、気持ちを切らさず銅メダルを獲得したこと、最後に「これが今の力」と口にしたことは精神的成長の証だと感じた。今回の負けを糧として、さらに強い選手になってほしい。 (94、97年全日本選手権覇者、日大男子監督、文理学部准教授)