【太田章の目】研究され尽くした吉田沙保里 自分のレスリングさせてもらえず
2016年08月19日 08:06
五輪
4連覇を果たした伊調との違いは、伊調は攻めることもできたし、攻められもしたことだろう。吉田は、攻撃力が突出していただけに、相手は全く攻撃をさせない、自分から攻撃もしない対策をとってきた。言い訳はできないとしても、やはり、吉田を責めることはできないと思う。
それでも、吉田が引っ張ってきた日本女子レスリングは、6階級中5階級で決勝に進出し、4個の金メダルを獲得した。思う存分に攻撃できた川井は、見事に金メダルを獲得し、4年後への期待をつないだ。1回戦で敗れてしまった渡利も、もう少しうまく戦えば勝てたような試合だった。東京五輪へ、流れをつないだ6階級の戦い。6選手すべてが、誇りを胸に帰ってきてほしい。 (1984年ロサンゼルス、88年ソウル五輪男子フリー90キロ級銀メダル、早大スポーツ科学部教授)